• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

「スペインではイヤリングをしなければ裸と同じと見なされる」中国政府謹呈の文明旅行ガイドブックが面白い

2013年10月06日

■「スペインではイヤリングをしなければ裸と同じと見なされる」中国政府謹呈の文明旅行ガイドブックが面白い■


20131006_写真_中国_


鼻ほじらないで、国外旅行する中国人向けにガイドブック発行
AFP、2013年10月2日

国外旅行をする中国人は公共の場で鼻をほじったり、プールの中で小便をしたり、航空機の救命胴衣を盗んだりしないように──中国人旅行者らの常軌を逸した行動をたしなめようと、中国の対外イメージを気にする当局がガイドブックを発行した。

中国国家観光局(National Tourism Administration)は、10月1日から中国の大型連休「ゴールデンウイーク」が始まるのを前に、ウェブサイトで64ページに上る「文明的な観光」のガイドブックを発行した。していいことと、してはいけないことがイラスト付きで解説されている。


■文明旅行ガイドブックと“中国人の恥をさらした”マナー違反ニュースの需要

10月1日は中国の国慶節(建国記念日)。1週間の長期休暇となる中国の“黄金週間”(ゴールデンウィーク)である。猛烈な旅行需要に伴い、中国国内の観光地は人混みで埋め尽くされるばかりか、海外旅行に出かける人も少なくない。

その国慶節休暇を前に中国国家旅遊局が「文明旅行ガイド」を発行したことが話題となっている。「国外旅行をする中国人は公共の場で鼻をほじったり、プールの中で小便をしたり、航空機の救命胴衣を盗んだりしないように――中国人旅行者らの常軌を逸した行動をたしなめよう」とするという、ちょっと不思議な内容を含んでいるからだ(AFP)。

もっともこうした注意書きは今回初めて作成されたわけではない。2006年に「中国公民出国・出境旅行文明行為ガイド」が作成されており、エジプトの神殿遺跡で中国人の落書きなどが見つかり問題となった今春、国家旅遊局サイトで再び公開された(京華時報)。

そして、このたび改訂された「文明旅行ガイド」が作成されたという運び。2006年作成のガイドはスローガン風のたった128文字の短いものだったが、今回は豪華カラー64ページの分厚いパンフレットとなっている。広東省だけで1万5000部を海外旅行に行く旅行客に配布したという(信息時報)。

今や中国情報が氾濫する日本では、「公共空間で騒ぐ、タン吐き、タバコやゴミのポイ捨て、芝生に入り込む」云々といった中国人観光客のマナー違反を伝えるニュースが大量に報じられているが、そのオリジナルのニュースは中国メディアのものという点は見逃せない。

つまり「中国人のマナー違反がひどい」という以上に、中国メディアが“売れるネタ”としてそうしたニュースを大々的に報じているのだ。特に“中国人の恥をさらした”と話題になる海外でのマナー違反事例をかき集めている。そうした背景において、中国国家旅遊局もガイドブック作りというお仕事をしないわけにはいかなかったのだろう。効果のほどははなはだ疑問だが、アリバイ的お仕事としては十分だ。


■旅行では封建的迷信活動を排斥し便座に足跡を残すべからず

さて中国国家旅游局のサイトではパンフレットが公開されている(こちら。リンクの6番)。ざっと眺めてみて興味深かった点をご紹介したい。

まず「中国公民国内旅行文明行為公約」(2006年作成版の再録)から。「1:環境衛生を維持すること」など8項目が挙げられているのだが、8番目の項目は「健康的娯楽の提唱。封建的迷信活動を排斥し、ポルノ・ギャンブル・ドラッグを拒絶する」となっている。パワースポット巡りなど許しません、というお話になるのだろうか。また最近では中国国内では禁止されている新興宗教のイベントに参加すると言った事例もあるようだ。

続いて文明旅行常識から。「ありがとう、おじゃましました、ごめんなさいなど文明的言葉をたくさん使いましょう」「人の前で鼻をほじるな、歯のすき間をほじくるな、せきやくしゃみをするな」など30項目もの常識を教えてくれているのだが、個人的に一番気になったのは7番目の「公衆トイレを長時間占領しない。便器に足跡を残さない。使い終わったら水を流す」というもの。

中国では、公衆トイレは汚い場所が多いのでとても便器には座りたくない、なので便座の上にしゃがみこんで用を足すという人が結構いるのだ。友人の中国人に話を聞いたら、日本にある日本語学校のトイレにも「便座の上に靴であがらないでください」といった注意書きが書かれていたという。

まあそれはいいのだが、注意文が「便座の上にしゃがむな」ではなく、「便座に足跡を残すな」なのがなんとも気になるところ。「便座の上に乗ってもいいけどばれないようにね」という忠告に読めてしまうのだが……。いろんな人が使う公衆トイレの便座を使うなんざ無理だよね、という点では国家旅遊局も同意しているのだろうか。


■パンの丸かじりは不文明

3番目は文明旅行細則から。

機内食について
不規範的・不文明的行為:パンを丸かじりしたり、麺を食べる時に音を出したり、食後にナイフやフォーク、ナプキンを持ち帰ること。

規範的・文明的行為:パンは手でちぎってから食べること。麺やスープを食べる時に音を出さない。食器は使い終わったらトレーに戻すこと。使い捨てではないナイフやフォーク、コップを記念品として持ち帰らない。

機内食の小さな丸パンとか普通にまるかじりしていたので、私も「不文明」な人であることが発覚した。それはともかく文明旅行細則では不規範的・不文明的行為と規範的・文明的行為を対比させて書いているのだが、基本的に同じ内容を書いているので同じ話の繰り返しとなる。税金のムダ遣いなので簡潔に書いて欲しいのだが、中国の行政文書やパンフレットではこの手の重複はざら。中国式官僚仕事の典型である。


■スペインではイヤリングをつけていないと裸と同じ?!ナゾの世界各国小ネタ

最後に主要海外旅行目的地のタブーという項目から。

日本では食事中に衣服の乱れを正したり、髪の毛を触ったりしてはならない。日本人の家を訪問する際には靴下をはき靴を脱ぐこと。

わからないではないような気がするのだが、日本旅行でのタブーでこれが真っ先に上がるというのはなんとも不思議。他にも

「香港やマカオでは冷房が入っている場所はすべて禁煙。食品は販売後に返品できない」
「デンマークではゲストはホストよりも前に乾杯してはならない。酒を飲む時にSkalといった場合飲み干さなければならない」
「ハンガリーではガラスや鏡を割ってはならない。不吉と見なされているからだ。人の顔を指さしてはならない」
「ドイツでは指を鳴らすのをは犬を呼ぶ時である。指を鳴らして人を呼んではならない。」
「イタリアでは記念品を贈る時、ハンカチは敬遠される。家族と死別する時に涙をぬぐう不吉な品だからだ」
「スペインでは外出時に女性は必ずイヤリングをしなければならない。さもないと服を着ていないも同じと嘲笑される」
「スコットランドでは石で作られた記念品を買ってはならない」(理由の説明なし)
「オランダではコーヒーをなみなみと注ぐことは失礼になる。3分の2まで注ぐのがよい」
「イランでは赤ちゃんの目について話すべきではない」(理由の説明なし)
「アフリカでは左手であいさつしてはならない。アフリカで流行のあいさつは右手をあげて手のひらを開いて相手に向けるというもの。“石を握っていません”と見せるという意味だ」

という不思議小ネタがそろっている。まったく役にたたなさそうな上に明らかに間違っていそうな項目が多々あるのだが、飛行機内での暇つぶしには最適かもしれない。


関連記事:
「電車のラッシュ怖い……」「日本の本屋は楽しい!」中国オタク的日本旅行のアドバイス・2013夏(百元)
「日本旅行したらぼったくられない?」中華的豪快ボッタクリ基準で考えて不安がる中国人オタクの不安(百元)
「冬はスキー、春は花見」タイで高まる日本旅行人気、円安追い風に(ucci-h)
習近平ショックで中国人観光客が日本から消える?!旅游法の衝撃と駆け込み需要
乱立する旅行代理店=ロシア人がツアーに参加する理由―ロシア駐在日記


トップページへ

 コメント一覧 (4)

    • 1. ななし
    • 2013年10月06日 23:21
    • 個人的には配布フォーマットがrarである点がとても気になる なぜzipでなくてrar...
    • 2. Chinanews
    • 2013年10月07日 16:06
    • >ななしさん
      中国だとrar多いですね。なんでなんでしょうね。大型ファイルを分割していた時代の名残なのかもしれません。
    • 3. Chongov
    • 2013年10月08日 01:05
    • 中国人がんばろう。

      建国記念日、天安門広場でのゴミ総量、
      2005年は19トン
      2010年は8トン
      2013年は5トン

      それは進歩するじゃん(苦笑)
    • 4. Chinanews
    • 2013年10月08日 17:27
    • >Chongovさん
      今年5トンのニュースは見ましたが、そうですか、年々減っているんんですかw
      というか毎年ゴミの量を算出しているのがなんとも面白いですね。

コメント欄を開く

ページのトップへ