■農業由来のPM2.5が大量発生、観測限界を超えたハルビン市の大気汚染―中国■

谁说成都没雾霾 / Rochinaer[雲正]
ハルビン市など中国東北部で観測限界を超えた大気汚染が検出された。新浪網の特集サイトが120枚もの写真でその凄まじさを伝えている。
■「スカウター爆発」級の大気汚染
ハルビン市では一時、1000μg/m3を超えるPM2.5を観測。500μg/m3を超えた時点でAQI(環境空気品質指数)は最悪値の500と測定される。そのためハルビン市のAQIは上限の500を指し続けたまま。「観測限界を超えた」と評されたゆえんだ。
なお一部中国メディアは「爆表」(計器爆発)という表現を使っている。これはマンガ・ドラゴンボールの戦闘能力を計る機器、スカウターが強敵に遭遇すると計測しきれなくて爆発することから生まれたネットスラング。権威ある中国国営通信社・新華社までもが「哈尔滨雾霾围城 PM2.5持续"爆表"」 (ハルピンを包囲するスモッグ、PM2.5の“スカウター爆発”続く)というタイトルで報じているのがすごい。
■突然の大気汚染、その原因は?
さて、中国東北部に突然出現した猛烈な大気汚染、その原因はなんだろうか。ハルビン市政府は3つの原因があると説明している(中国新聞網)。
(1)気象条件。風が弱いほか、逆転層の発生により対流が起きず、水平方向にも垂直方向にも大気が拡散しなくなった。
(2)都市周囲の農地でトウモロコシや小麦の茎が燃やされた煙。
(3)冬季の集中暖房が始まったため、各所でボイラーが稼働し始めたこと。
中国ネットユーザーの間では(3)が主要な原因だと指摘する声が大きい。ボイラー稼働と大気汚染の発生のタイミングが一致しただけにそう考えるのは自然だろう。
また今年7月には米国の研究チームが集中暖房で燃焼された石炭により、中国北部の住民の平均寿命は5.5年短くなっていたとの研究成果を発表、話題となっていた(
AFP)。集中暖房に加え、工場の汚染物質排出を野放しにしているとの批判も強く、政府の責任だと考える人は多い。
■近代化が生み出した農村発の大気汚染それだけにハルビン市政府の説明は責任逃れと感じる人も多いようだが、突発的な大気汚染指数の上昇の説明としてはきわめて妥当なものだろう。
特に中国の都市住民がよく知らない問題として農地での焼却処分がある。2011年には南京市など江蘇省各地を濃霧が覆い化学工場の爆発かなどとのデマが広がったが、実際には各地で小麦ワラの焼却が始まったことが原因だった(
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ハルビン市は現在、さまざまな大気汚染対策を打ち出しているが、その一つに農地での焼却処分取り締まりがある。現在、農村部に職員を派遣し、焼却処分を取り締まっているという。
東北網は焼却処分が増えた背景についても言及しているが、これが面白い話。ハルビン市近郊でも、手作業ではなく機械でトウモロコシを収穫する農家が増えているが、機械で収穫した場合、茎は粉々にされて農地に振りまかれる。手作業の場合は茎を持ち帰って家の燃料にしたり、家畜の飼料にしていたのだが、粉々にされた茎は燃やして処分しているという。また農村にガス、さらにはバイオマスによる天然ガスが普及したことで、茎を燃料として使う需要はますます薄れている。近代化の進展が農村発の大気汚染を生み出したというわけだ。
■焼却問題は中国全体の課題焼却が問題となっているのは中国東北部だけではない。中国南部、蘇州市でも秋の収穫を控え、環境部局が茎の焼却処分取り締まりを強化する方針を発表している(
蘇州新聞)。農村部の巡回に加え、人工衛星による大規模焼却のチェック、PM2.5など大気検査が導入されている。茎を焼却するのではなく、飼料やバイオエタノールの原料として再活用するよう蘇州市は指導している。
蘇州市だけではなく、全国各地で焼却処分の取り締まりが通達されているが、なかなか徹底されていないのが現状だ。
この構図は今春話題になった上海ブタ漂流事件と似ている(
参考記事)。行政がブタの処分場を作って処分することと決まっているのだが、村にはそんな財力がなく、農民も川に死骸を捨てたほうが楽。果たして1万頭ものブタの死骸が上海市を流れる黄浦江と浮かぶことになった。
行政が買い取りするなどして誘導しない限り、「燃やして処分が一番楽」という農村由来の大気汚染はなくならないのではないか。
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