中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2013年11月01日
■マンガ『中国のやばい正体』のやばい正体
「中国人漫画家、命懸けの告発」的な触れ込みで一部で話題のマンガ『中国のヤバい正体』がかなり残念な内容だった。
アマゾンのレビューを見ると、「こんなこと書いても大丈夫かよ」と心配している人がいるが、心配ご無用。食品安全問題をはじめ、同書がとりあげているネタのほとんどが中国メディアで報じられて明らかになったこと。日本でもレコードチャイナ、サーチナなどのニュースメディアで報じられたネタが大半だ。正直、情報を得るためならばそうしたサイトを読んだほうが手っ取り早い。本書の“売り”は中国人が書いたという以上のものはないと思われる。
しかも著者は中国人であっても中国問題のプロパーではなく、メディアの誤報やネットが針小棒大に曲解した情報を鵜呑みにしている。
例えば「中国のマクドナルドはたった45日間で成長したブロイラーを使っているっ!危ない。その業者が摘発された!」という話。45日で成長するブロイラーは日本など他国でも出回っている。そうした飼育方法を問題視するのはいいが、何も中国だけの問題ではない。なお業者が摘発されたのは抗生物質の不正利用だった。
そしてあまりの無知っぷりに爆笑させられたのは、以下の部分。
「山西省などの貧困地域では……洞窟で暮らす人たちがいる!もはや国家にとってはゴミ屑です!」
それは洞窟じゃなくて、ヤオトンと呼ばれる伝統的住居です。
Cave homes in the wall / 城墙里的窑洞 / caitriana
■あふれかえるウイグル人蔑視
そんな残念感あふれる本書だが、ぜひ一読をお勧めした部分もある。それは漢民族のウイグル人に対する蔑視を素直に伝えている部分だ。主人公と友人が街を歩いているとウイグル人の切糕売りに出くわすというシーンでのこと。一部セリフを紹介する。
(切糕とそれにまつわる事件についてはこちらの記事を参照のこと)
主人公「あ、ウイグル族人(原文ママ)……ヤバい、目をそらさなきゃ」
友人「あいつら一人っ子政策が適用されてないんだよな。あんな民族たくさん増やすなよな」
主人公「おい、気をつけろ。あいつら羊殺しの刃物持ってるから刺されるぞ」
説明「日本人は漢族がウイグル族人(原文ママ)を虐待していると思うかもしれない。でも現実の民衆レベルの生活では逆。僕ら民衆はウイグル族人(原文ママ)を恐れていた。
ウイグル族人(原文ママ)は盗み、ひったくり、殺人などやりたい放題。政府も彼らに引け目があるからか、彼らの犯罪はろくに取り締まらない。路上の無許可商売も黙認状態だ。
ぼったくりも日常茶飯事。客が拒否したら無理やり支払わせる。
ウイグル地区内では2009年に192人が死亡するウイグル騒乱が勃発。それ以降も頻繁に暴動を起こしている。ただ国内メディアではあまり報道されていない。」
日本人の在日朝鮮人への評価と同じレベルだろう。