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「アウトブレイク・カンパニー=萌萌侵略者」日本のラノベタイトルも中国語訳も変になっている件……中国人オタクの議論(百元)

2013年11月07日

■中国オタク「さすがに萌萌侵略者は無いと思うんだが」■


ありがたいことに「最近長かったり説明的だったりするラノベのタイトルが増えているが、中国ではそういった作品のタイトルはどう受け止められているのか?」という質問をいただいておりますので今回はそれについてを。

ちょうどうまい具合にラノベ原作アニメも多くある、10月の新作アニメに関するやり取りの中でそういった「ラノベのタイトル」に関するモノを見かけましたので、今回はその辺についてを例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


■中国人オタクの議論

最近ラノベのタイトルがどんどんヘンなことになっているような気がするが、今期はそういうヘンなタイトルのラノベが原作のアニメが多いと思う。ラノベ原作系の中にはタイトルで損しているような作品もあるんじゃないだろうか?

ラノベのタイトルもどんどん長く、ヘンになっているよな。そしてそれの中国語訳もどんどんおかしなことに……

今期の作品だと「俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している」とか、私はもうちょっと人気になっても良いと思うんだが。これは、タイトルが長すぎて不利になっているんじゃないだろうか?

いや、お前には悪いがあれは人を選び過ぎる作品だからだろう……俺は大爆笑できたが、友人はドン引きだった。それに原題は確かに長いが、中国語になった場合は「我的脳内恋碍選項」と意訳で少々短くされているし、そこまで長いタイトルではないと思う。

タイトルが長すぎて負の影響が出たというなら「勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。」の方じゃないか?これは直訳で「没能成為勇者的我無可奈何决定去工作」とかなり長いものになっている。事前評価はそれなりにあったけど、放映開始後は話題にならなくなったし……

いやいや、それは単純にお色気要素が多過ぎたり、期待外れに感じて見るのをやめた人間が多かったんじゃないか?私もやや期待外れだと感じている。そもそも、最近は勇者と魔王ネタが多過ぎると思うんだけど。

ま、まぁ……「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」だって長いタイトルで、中国語タイトルも「我的妹妹哪有这么可愛」と長かったが人気になったわけだし。やはり人気とタイトルの長さはそこまで関係無いんではないかい?

中国語版のタイトルに関しては、翻訳されることによって微妙な意味になったり他作品とイメージが混同されたりなんとなくパクリっぽく思われたりすることが問題なんじゃないかな。今期だと「ログ・ホライゾン」の中国語タイトルが「記録的地平線」になって、「境界線上的地平線」(境界線上のホライゾン)と重なっちゃっているし。

「ログ・ホライズン」はそこから更にこんがらがって「境界の彼方」と混ざっていたりするヤツが私の知り合いにいた。もう原題と関係無い!それに加えて、「ログ・ホライズン」は「ソードアートオンライン」との違いが実際に見てみるまで分かり難いという問題もある。私の中では既に何かと気の毒な作品というカテゴリに入っている。

直訳で長くなってしまうのはある程度はしょうがないと思う。日本のラノベのタイトルがそう言う方向に変化しているからね。私がマズイと思うのは直訳意訳関係無く、考えが足らずにダメなタイトルが付いた時だ。さすがに萌萌侵略者は無いと思うんだが。「アウトブレイク・カンパニー」をああするのはどうかと思うよ。

「アウトブレイク・カンパニー」は副題が「萌える侵略者」だから間違いではないんだがな……副題だけを訳してタイトルにしてしまったのは確かにもうちょっと考えてもよかったんじゃないかと思う。作品のストーリー展開もどっちかと言えば萌えよりも中二病の妄想寄りな作品なのに。

「デート・ア・ライブ」を「約会大作戦」としたみたいにインパクトがあって、そんなに作品のイメージを壊さなければ良いんだよね。「萌萌侵略者」と「約会大作戦」の差は、少しのセンスの違いによるものなんじゃないだろうか。(訳注:「約会」は「デート」の意味になります)

ラノベのタイトルで思い出したが、「ゴールデンタイム」のアニメって原作の中国語タイトルの「金色時光」じゃないんだな。「青春紀行」になっている。これも意訳ではあるよな。

「ゴールデンタイム」に関しては原作が既に正規で流通しているわけだし、他の作品や商標かなんかで重なってしまったとかじゃないか?ありがちな言葉の組み合わせではあるしね。

しかしラノベのタイトルも随分と残念になっちゃったね。昔人気になった作品のように芸術面と娯楽面を両立させるタイトルはもう出てこないのだろうか。

昔人気になった作品もヘンなタイトルの多いぞ。ウチの国では意訳タイトルで広まった作品もかなりある。例えば「無頭騎士異聞録」の原題は「デュラララ!!」だし、「虫之歌」の原題は「ムシウタ」だ。むしろ昔のラノベの方がヘンなタイトルが多かったと言えなくもない。今は主に長いだけだしね。

ラノベに限らずオタク関係の作品のタイトルは極端に短くなってから、今度は長くなるという変化が起こっているんじゃないかな。昔はそういった短くて一見意味不明なタイトルの場合は中国語で分かり易い意訳がついていたし、こっちも原題知らずに違和感なく受け取っているケースが少なくなかった。例えばこれはアニメの話だが「ラブひな」は「純情房東俏房客」となっていた。

あくまで私の個人的な印象だが最近は直訳することが多くなっているように思う。理由として思いつくのは直訳できる、直訳し易いタイトルが増えているのと、日本語の原題にアクセスできる人が増えているからあまりにもかけ離れていると文句が出るといった辺りか?

今期のアニメだと「キルラキル」の「双斬少女」も謎訳タイトルだよな。オリジナル作品で事前にほぼ情報無かったろうし、「KILL la KILL」そのままってのもアレだったろうし、苦労して考えたとは思うが。
でも英語表記に関しては今期だと「Little Busters!」がそのまま使っているね。確か第一期の時は「小小克星」という中国語タイトルが併記されていたけど、今回は「Little Busters!~Refrain~」でそのまま載っている。

今期の新作のsohuの公式配信だと「IS2」は「無限斯特拉托斯2」だし英語表記をそのまま使うってわけでもないようだ。あとこれは元のタイトルより長くなっているケースだな。

現在sohuのアニメチャンネルのページにある「Little Busters!」の画像、(C)表記の後にある「※Busters!とRefrainの間半角空け」を消さずにそのまま載せちゃっているくらいだし、日本語のタイトル或いは英語のタイトルよりも中国語の方が安定しそうなのは確かかな……

英語タイトルだと分かってもらえない、流行らないということでウチの国は英語のタイトルをそのまま使わないのが主流だからね。私達が日本語や英語表記のタイトルでやり取りする分には問題ないけど、商業展開とかになると中国語メインでうまくやるしかないんだろうな。

とまぁ、こんな感じで。


■公式配信普及の影響

ラノベのタイトルに関しては元の日本語タイトルに対しても、中国語になったタイトルに対しても色んなものを感じてしまうようです。ただ中国オタクの間におけるラノベ作品の人気に関しては、中国に作品が入ってくる段階で「日本における評価」も一緒に入ってくるので、タイトルの影響と言うのはそこまで大きなものではないような気もしますね。

またラノベ原作アニメに関しては最近中国でイロイロな作品が公式配信されるようになってきたこともあり、知名度や評価の影響が小さくなっています。

ファンサブグループはたくさんの人に見てもらえる人気(になると思われる)作品から字幕を付けていきますし、ファンサブ字幕しか無かった頃はファンサブ字幕付き動画の作成が活発ではない作品は中国オタク内に広まりませんでしたから、ファンサブグループの動向を左右する前評判、知名度というのは中国オタク内での人気を左右する非常に大きな要素でした。

しかし公式配信の拡大に伴い、中国オタク内では比較的マイナーな作品も一定のクオリティの中国語字幕付きで視聴できるようになってきています。もちろん今も原作の評価、知名度が無視できない要素なのは変わりませんが昔に比べて「アニメのクオリティ」「中国オタクの感覚で面白いかどうか」が更に大きく影響するようになってきています。

昔は放映前のファンサブグループの動向から、ある程度楽に中国オタク内での人気の傾向も予想できたのですが、最近は「期待作」くらいまでは分かっても、本格的に人気が出るかは放映が始まってみるまで分からない状態になってきていますね。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

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*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2013年10月13日付記事を、許可を得て転載したものです。

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