• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

史上最大の在米華人デモに感じる既視感、チベット騒乱と反CNN、ウイグル問題と反ABC

2013年11月10日

■史上最大の在米華人デモに感じる既視感、チベット騒乱と反CNN、ウイグル問題と反ABC■
 


Olympic torch relay, Great Wall

Olympic torch relay, Great Wall / Ed-meister


「米国で史上最大の華人デモ、ABCの中国侮辱発言に抗議」 というニュースが中国で大々的に報じられている。法制晩報の報道によると、2013年10月9日、26都市で3万人が参加したという。


■問題の発端

問題となったのは10月16日、米ABCが放送したジミー・キンメルの番組。

「中国人を皆殺しにすれば借金を踏み倒せる!」=男児が米トーク番組で衝撃発言―台湾メディア
レコードチャイナ、2013年10月21日

問題の発言が行われたのは、米国のトーク番組『ジミー・キンメル・ライブ!』だ。番組では「政治家のダダっ子ぶりは子ども並み」というテーマで、異なる人種の子ども4人をゲストに招き、お菓子を食べながら国家論を語ってもらうという企画だ。 

司会のジミー・キンメルからの「米国は中国から1兆3000億ドルもの借金をしている。このお金をどうやって返せばいいだろう」という質問に対し、子どもたちが様々な「卓見」を披露した。1人は「高い壁を作れば、中国人はお金を取りに来られないよ」と語り、別の男の子は大きく手を振り、テーブルを叩きながら「中国人を皆殺しにすれば、お金は返さなくていい」と発言した。 

男の子の衝撃発言には司会者も興味を持った様子だったが、別の女の子が不安げに「私たちが中国人をやっつけようとしたら、中国人も私たちをやっつけに来るよ!」と、双方の武力衝突に発展する可能性を指摘するも、男の子の方は「先に皆殺しにしちゃえば、僕たちをやっつけにくることはできないよ」と反論。さらに別の子どもが「すぐに中国人をやっつけちゃえば、仕返しできない!」と合いの手を入れた。 

司会者は笑いを噛み殺しつつ、女の子に「誰かにお金を借りたら、返さなきゃいけない?」と尋ねると、女の子は毅然とした口調で「絶対返さない!」と言った。司会者はこれに対し「それじゃあ、君もお金を返してもらえなくなるね」と答え、討論は「借りたものをきちんと返せば、次もまた借りやすくなる」という結論で終わった。 

子どもの発言に「皆殺しにするの?なるほど、それは面白い考えだね」と相づちをいれたところだけを取り出され、人種差別だと問題になっている次第。全体を見ればたんに差別を煽る内容ではないが、毒がありすぎることは間違いない。

ABC及びジミー・キンメルはすでに謝罪したが、謝罪は不十分であり辞職するべきというのがデモの要求となっているようだ。


■2008年と2013年の共通点

この反ABCデモを伝える記事で引き合いに出されているのが、2008年の反CNNデモだ。北京五輪聖火リレーを報じるニュースで、アンカーのジャック・キャファティが「中国製品はゴミ」「中国人は過去50年間、暴徒と強盗の集団だった」などとコメントしたことが問題視された(レコードチャイナ)。

2008年の反CNNデモ、2013年の反ABCデモはいずれも米テレビ局の中国人差別発言が問題になったという点で共通しているが、それだけではない。もう一つ、「中国の少数民族に関する重大事件の直後」という共通点がある。

2008年3月にはチベット騒乱が起きた。世界各国のメディアが注目し中国の過酷な少数民族を支配を批判したが、中国では「暴徒により漢民族が殺された事件」と定義されており、政府は海外メディアの報道に神経を尖らせていた。

2013年10月28日には天安門車両突入事件が起きた。CNNが「天安門車両突入事件:テロか、それとも自暴自棄の叫びか?」とタイトルのコラムを掲載したが、中国では人民日報や環球時報など官製メディアがテロとみなさないのがおかしいと反発。今年4月のボストン・マラソン爆発事件(犯人はチェチェン系移民だった)では即座にテロと断定していたのにダブルスタンダードではないかと反発した。


■1カ月後にこれだけ問題視されたのはなぜ?

正直、中国屋の私にはアメリカの事情はとんとわからないので、華人のデモが官製だったかどうかまではわからない。ABCの番組が趣味がよくないものであることも確かだ。

しかし中国メディアでも当初抗議していた人々は謝罪に納得して引き下がっていることが報じられている。事件から1カ月近くが過ぎた今、これほど大規模なデモとなったこと、なにより中国でこれほど大々的に報じられていると、なにかウラがあるのではと勘ぐりたくなってしまうのだが……。

関連記事:
中国の若きナショナリストたち=四月青年と愛国主義文化産業
中国国民の言論の自由は保証されている(キリッ―温家宝首相
ファッショナブルな若き保守派中国人の台頭とその転落=四月網問題で分かったこと
【速報】成功捨てた英人気俳優クリスチャン・ベール、軟禁中の中国人権活動家を訪問
中国ネット世論「ウイグル族の特権って酷くね!?」日常の民族問題(迷路人)


トップページへ

 コメント一覧 (4)

    • 1. chongov
    • 2013年11月11日 06:19
    • 中国メディアは国際影響力がないから、米日欧メディアの中国への批判に対する反論はほどんど声がない。
    • 2. pleco
    • 2013年11月11日 23:58
    • 米国の仮にも討論番組と、中国の「ネット世論」が同レベルってのはちょっと驚きですね。
      もしくは米国のお子様と中国の糞青が同レベルなんでしょうか。
    • 3. chongov
    • 2013年11月12日 01:55
    • >Plecoさんへ

      確かにそれは酷いを思うが、アメリカ留学中の私はアメリカ人からの敵意を感じない。みんなはとっても親切な人です。日本もアメリカも反中教育がない。過激な民族主義者もあるけどごく少数。理性なリベラルは社会の安定にとって重要です。
    • 4. Chinanews
    • 2013年11月12日 23:31
    • >plecoさん
      6歳のお子様とかに好き勝手発言させるという番組だったそうで、こういう強烈な子がいたほうが受けるのだろうとは予測できるのですが、個人的には受け付けられないという印象です。

      というわけで番組そのものの非もあるわけですが、その中のごく一部だけを取り出して叩くという手法にはちょっと疑問が。抗議している人のほとんどはどういう番組でどう進行していったのか知らないのではないかと思います。

コメント欄を開く

ページのトップへ