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2013年12月01日
*盗まれた聖なる石の一つ。
2013年11月28日付RFAなど複数のメディアによると、四川省カンゼチベット族自治州ペユル県テルルン郷に22日、中国の軍・警察が押し寄せ、地元のチベット人9人(Tibet Timesによれば8人)を逮捕した。
事の発端は「聖なる石」だ。
地元の人々は先祖代々の伝承に従い、ニンマ派のカンマル僧院にあった聖なる石を崇めてきた。石の崇拝はボン教的感覚からくるアニミズム的傾向と思われる。チベットだけでなく世界中で見られる現象である。
ところが数カ月前、中国当局はその聖なる石を運び出したという。チベット人たちは「盗まれた」と表現している。
「聖なる石」の約半数は売りさばかれ、残ったいくつかは現在建設中の県庁舎入り口に使われているという。
地元住民は返還を求めて政府に書面で陳情したが、まったく相手にされなかった。そこで23日に村民を集め県庁舎へのデモを計画していたという。ところが秘密裏に進められていたはずの計画が当局にもれてしまった。結構前日の22日、軍・警察はデモ指導者の集会場を急襲。RFAによると抵抗もあったというが、僧侶や地元住民代表からなるデモ指導者たちは逮捕、連行されたという。
軍・警察は事件後も付近の僧院、村々に駐留、監視を続けている。
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*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2013年10月20日付記事を許可を得て転載したものです。