中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2013年12月11日
ありがたいことに以前の記事「中国オタク「さすがに萌萌侵略者は無いと思うんだが」」に関して「ダメな中国語タイトルの影響は?」という質問をいただいておりますので、それについてを。
ネット環境が便利になり中国オタクの方へ流れてくる情報量もどんどん増えていますが、彼らの間でやりとりされる情報は基本的に中国語ですから、作品の中国語タイトルというのもかなり重要なものになっているようです。そんな訳で今回は中国のソッチ系のサイトで見かけた「中国語タイトルで切ってしまったアニメ」に関するやり取りを例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。
■中国人オタクの議論
中国語タイトルがヘンなものになっている作品って少なくないと思う。「タイトル見て切った」とかいう言い方をよく見かけるけど、その意見に同意したくなるタイトルの作品が実際にあるのが困りものだ。どういう中国語タイトルの作品を「切った」のか、ちょっと語ってみようぜ。
いかにも地雷に思えるような中国語タイトルの作品があるのには同意だ。とりあえず10月の新作では「校園悠哉大王」(のんのんびより)がヒドイと思う。そして私はこの作品をうっかり名前だけで切ってしまった!放映が終わる前に面白さに気付けてよかったよ……
「のんのんびより」の中国語タイトルは、明らかに「校園迷糊大王」(スクールランブル)との混同を狙ったタイトルだよな。どっちも好きな作品だけど、さすがにヒドイと思う。
10月なら「萌萌侵略者」(アウトブレイク・カンパニー)もそうかな。萌えがテーマであるけど萌萌って感じではないんだよな……サブタイトルじゃなくて、メインの方を訳せよ……あと「のんのんびより」は「笑園漫画大王」(あずまんが大王)との混同を狙った可能性もあるな。
私がうっかり切っちゃったのは「荒川爆笑団」(荒川アンダー ザ ブリッジ)だね。「爆笑」とついているから安易なコメディ作品と思っちゃったんだよなぁ。コメディ系の作品も最近は内容をかなりひねっているのに、中国語タイトルだけ昔のノリのままってのは問題だ。
最近の作品で中国語タイトルの負の影響が大きく出たのは「科学小飛侠Crowds」(ガッチャマン クラウズ)だろう。中国語タイトルで切ったというヤツ、マジで多かったぞ。この「科学小飛侠」って昔の「ガッチャマン」と同じタイトルだから間違ってはいないんだけど……
そうそう、「科学小飛侠」があったな。確かにタイトルの印象で切られたりこき下ろされまくったりしていた。内容に関しては終わり方が微妙ではあったけど十分良い作品だったと思うんだが。
ウチの国では「ガッチャマン」の知名度が低いし、知らない人間からすればこのタイトルでは「子供向け作品」と思われて切られてしまったんだろうね。実際の所、「ガッチャマンcrowds」は子供向けと言う作品ではないのに。
子供向けっぽいタイトルで思い出した、私のやった失敗。中国語タイトルではないんだが「宇宙兄弟」を切ってしまった。「何々兄弟」ってウチの国で子供向けの作品に有りがちなタイトルだったし、「宇宙」そのままの表記も安易に思えて、これもなんか子供向けかと……
でも、これ「科学小飛侠」(ガッチャマン)じゃなくて「宇宙騎士」(テッカマンブレード)だったらたぶん問題無かったよね。昔の子供向けっぽい名前そのまま使おうが、「宇宙」を使おうが「テッカマンブレード」の方はきちんとイメージが形成されているし。
切ったわけではないんだが、もうちょっと何とかならないのかと思うタイトルと言えば「天才麻将少女」(咲-Saki-)だな。「咲」というのも、ウチの国では一般的では無い漢字だから難しいかもしれないが。
中国語タイトルで切られてしまう作品と言えば「女僕珈琲庁」(それでも町は廻っている)だろう!いやね、メイドカフェが舞台だってのは良いんだけど、なぜ女僕珈琲庁(メイドカフェ)をそのままタイトルにしようと思うんだ?知り合いに薦めてもらわなければ危うく見落とす所だったよ……
俺が中国語タイトル見て切っちゃったのは「地球防衛少年」(ぼくらの)だね。しかしこれ、中国語タイトルのイメージのまま見たら、それはそれでスゴイ罠だよな……幸い私は後に見たOPと原作のおかげでこの作品の方向性を知ることができたが。あと同じ作者の「星星公主」(なるたる)も中国語タイトルは子供向けっぽい印象を受けるが、こっちも壮絶に鬱な内容の作品である意味では罠だ。
罠と言うか、これは私が勘違いしちゃった所がでかいんだが「龍与虎」(とらドラ!)は熱血バトルアニメだと思ってスルーしてしまった。
「とらドラ!」は放映当時、どっかのファンサブが「龍虎闘」というトンデモタイトルにしていたのを思い出した。案の定、当時は見るまでバトルものだと思っていたヤツが続出。
今でこそ何の問題も無くスゴイ作品だと認識されているが「魔法少女小圓」(魔法少女まどか☆マギカ)も放映当時はタイトルから切っちゃうヤツが少なくなかったな。内容を見る前に作品を叩くな、と言いたくはなるが、「魔法少女」で「小圓」だから……それ以前の作品に「魔法少女小樱」(カードキャプターさくら)とかもあるし、タイトルだけで判断して見るのを躊躇うのは理解できなくもないんだよな……
まぁ「魔法少女」系の作品は中国語タイトルが悪いとかじゃなくて、ウチの国のオタクが低年齢向けっぽい作品に対する拒否反応が強すぎるのが問題な気もするけどね。そういう雰囲気がちょっと感じられるだけで切ってしまう。もったいない。
俺は「机器人筆記」(ROBOTICS;NOTES)を中国語タイトルだけで切っちゃって、後から慌てて追っかけたな。それにしても、英語タイトル、英語をカタカナにしたタイトルをどうするかは非常に難しい問題ではないかと思う。日本人が受け取る感覚を中国語で表現するのは不可能に近いのではないだろうか?
英語をそのまま使うのはウチの国では習慣的にも、受ける印象的にも難しそうだしね。ちなみに自分が中国語タイトルで切っちゃった名作アニメは「花牌情縁」(ちはやふる)だ。熱血部活アニメだとは思わなかったのよ。てっきり少女向け恋愛モノだとばかり。
「四畳半神話体系」が自分にとってはタイトルで切って大いに後悔した作品だ。「四畳半」という言葉の意味が日本の住宅事情からのものだから、こっちでは何の事だか分からなかったんだよ……意訳でアレなことになるタイトルは多いが、かと言って直訳すればいいというものでもないのが厄介だと思う。
自分の場合長すぎるタイトルはなんか印象が良くないので切っちゃうね。「我的青春恋愛喜劇果然有問題」(やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。)なんかがまさにそうだった。
それは日本語の原題が長すぎるのも原因だろう。ただ「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」は面白い作品だと思うぞ。あと、この作品のこっちでの略称「春物」もまた萌えというかエロ方面に勘違いされる略称になっちゃっているのがまた……
それにしても、最近はキャラデザの影響に加えて中国語タイトルも影響するようになってきた気がするわ。ウチの国でやり取りされる際には結局中国語タイトル名での話になる訳だし。
10月新作だと「のんのんびより」の中国語タイトルなんかがあからさまだけど、そろそろ過去の名作と似た中国語タイトルにして混同させようとするやり方はムダになってきているんじゃないか?前は勘違い狙いが出来たかもしれないが、最近はパクリ作品と思われて真っ先に切られる。
うむ。作品の数が増えているから、昔のようなやり方は通用しないどころか逆効果になっているよな。「他にもたくさん作品があるから、パクリっぽい作品はあえて見なくてもいいや」という判断になるし。