■汚職対策は中国に学べ!?ーベトナムの人気政治家訪中の意図■
■汚職対策は中国に学べ?!共に社会主義、共産党一党独裁の国であるベトナムと中国、ベトナムが中国を参考にすることは色々あるのでしょう。でも、「これも中国に学ぶの!?」と思うようなテーマもあります。それはずばり「汚職対策」。
BBCベトナムは、NguyenBaThanh内政委員会主任、汚職防止中央指導委員会副委員長の訪中を報じています。
NguyenBaThanh主任は12月16日から中国・北京、上海を公式訪問。孟建柱・政治局委員、中国共産党政法委員会書記と会談しました。孟書記はは中国における警察・司法を所管する立場にあります。またThanh主任は中国共産党中央規律検査委員会(中紀委)関係者とも会談しました。
中紀委は共産党内の組織ですが、社会主義らしく司法に優先するポジションにあります。汚職官僚の摘発ではまず中紀委が取り調べし党内処分を下した後に、司法手続きへと移るのです。その中紀委ですが、
KINBRICKS NOWによると、現在、権限を拡大中。その中紀委とのミーティングなのですが、ベトナムにもフィードバックされるのでしょうか。
実はベトナムも汚職対策指導委員会を政府管轄から共産党傘下に今年移管したばかり。中国の動きはベトナムにとっても大いに気になるところなのかもしれません。習近平の指導による共産党の「生死をかけた」反汚職闘争、そして政治局員だった周永康氏への捜査が続いているというタイミングでのThanh主任の訪問だけに、BBCも注目しています。
*中国の季建業・南京市長拘束を伝えるベトナム紙の報道。大きく紙面を割いています。「市民が大喜び」とのタイトルで、何となくタイトルも嬉しそうな雰囲気です(笑)
■「悪い奴らにゃあ容赦しない」の人気政治家そもそもこのThanh氏はダナン市での積極的な行政改革、「悪い奴らにゃあ容赦しない」的な発言で人気を得てきた政治家で、共産党防止委員会の下に今年新設された内政委員会の委員長にも抜擢され、中央政界にやって来ました。
現在16人であるベトナム共産党最高幹部である政治局員にはなりそこねたとは言われていますが、国民から人気がある数少ないベトナム政治家といえるでしょう。ただ今回の訪中は
ベトナム通信社系がさらっと伝えている程度で、その他メディアはほとんど反応していません。彼の言動は割と話題になるのと対比すると、多少抑えられた報道になっているのかと推測されます。
中国メディアは時にベトナムの改革を引用、自国の改革の停滞をあてこすることがあります(
参考記事)。その合わせ鏡のような関係ですが、ベトナム・メディアもまた中国の動きはよく取り上げます。もちろん領土問題では徹底的に中国に批判的ですが、最近の習近平政権による「反腐敗」への意気込みに関しては、「うちの国もこれくらいやってくれたら……」と暗示するような取り上げ方です。
周永康の捜査についても、商業系メディアはかなり詳細に取り上げたがっているようです。「中国にはやっぱ悪い奴がいるもんじゃのぉ」という煽りに加えて、「隣の中国ではこういう悪い奴はちゃんと捕まっている、それに引き換え……」という示唆することで、国内問題にも引きつける。こうした手法はベトナムメディアの常套手段です。