■土葬した遺体を掘り返して強制火葬■
Yu Rong Cun Cemetery / drs2biz
■新中国では火葬は義務
中国の大物政治家の葬儀記事には必ず「火化」(火葬)と書かれています。こんなわかりきったことを書かないでも……と思っていたのですが、どうやら「ちゃんと法律を守りましたよ」という意味があったのではないかと思い当たりました。中国の葬儀管理条例では漢民族の火葬は義務なのです。
葬儀管理条例
第二条葬儀管理の方針は、積極的に、段階的に火葬を実行し、土葬を改革し、埋葬用地を節約し、葬儀の醜い習慣を廃除し、文化的に節約し弔事の執り行いを提唱することである。
土葬は古い習慣、新中国は火葬ということなのでしょう。確かに毛沢東以外の指導者はみんな火葬されてます。もっともこうした意識がなかなか定着していないのも実情。無知蒙昧な一般大衆ばかりか、栄えある共産党員まで風水や迷信を信じていまだに土葬する奴がいて困るといった趣旨の通達が中央弁公庁名義から出ています。
ちなみに例外規定もあります。貧困県クラスの農村など何らかの事情がある地域では土葬を許可されるケースもあるとのこと。許可する権限は省、自治区、直轄市にあり、火葬区と土葬区に分けられているそうです。また「少数民族の葬儀習慣」については「尊重」し、少数民族自身が「改革」を求めない限りは干渉しないという方針です。
ちなみに火葬すべき遺体を土葬したり、あるいは公墓や公益墓地以外に埋葬したり、勝手に墓を建立したりという葬儀管理条例違反については懲役や罰金などの措置は特になく、現地民政部の期限付き改善命令を拒否した場合に限り、強制執行、つまり当局が勝手に火葬、埋葬できるとあります。
■遺体掘り出しを強制執行、その場でガソリンをかけて焼くこの葬儀管理条例の強制執行をめぐって、安徽省である事件が起きました(
安徽テレビ)。
12月13日、安徽省宣城市涇県の農民、程朝穆が死去。16日早朝に土葬されたのですが、すぐに地元政府民政部門から期限付き改善通知書が届きました。「18日までに遺体を火葬する事。さもなくば強制的に遺体を火葬する」という内容。
遺族が従わなかったところ、果たして強制執行が行われました。19日午前、遺体が掘り起こされ現場で火葬。なんとその場でガソリンをぶっかけて燃やすという荒療治だったようです。当然、遺族の反発が予想されますが、現地の公安、武装警察、交通警察の車両20台、バス2台、斎場の車、消防車が大集結する完全防御態勢をしいていたとのこと。
程朝穆の息子、英富は他にも土葬している人はいるのになぜ我が家だけが強制執行されたのかと憤っています。
■省・県の大ポカで大どんでん返しこの話がネットで広がりマスコミで伝えられて騒ぎとなったのですが、県民政局の胡厚永局長は関係法規に基づいて強制執行したと主張、瑕疵はなかったと反論しています。
ところがこの反論が思いも寄らぬ形で崩れることになります。実は冒頭で紹介した葬儀管理条例ですが
2012年に改訂されていまして、「改善命令を拒否すれば強制執行できる」の一文が削除されているのです。遺体を強制的に焼くのはやっぱりまずいという常識的判断が働いたのでしょう。
ところが安徽省もその旗下の涇県も、法改正にあわせてローカルな通達を改正していませんでした。国の法律と省・県のローカルな規定が食い違っている状況だったわけです。改正法は2013年1月1日施行。1年近くもローカル規定を改正していなかった省・県両政府は職務怠慢と怒られても仕方がない状況に。
かくして不穏な空気を察知した安徽省民政庁は「県の火葬強行は修正後の条例に違反している」と県を非難。はしごを外された県も、やり方が適切でないと認め調査後に関係者に相応の処分をすると発表しました(
中安在線)。
省の責任はどうするのか、同様の問題もほかにたくさんあるのでは、といった疑問が浮かびますが、それらはどうやらうやむやにされそうな雲行きです。
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↓
http://cifft.net/bh.htm
実際に問題になってるんですね。