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2014年は1月31日が旧正月、ベトナムのテトです。ベトナムもいよいよお正月モードに入ってまいりました。職場のベトナム人はもう気もそぞろという時期に。そんな年の瀬の忙しさのベトナムですが、実はテトに関する経済問題が少なくありません。
お正月需要で高騰する食料品価格。皆が待ち焦がれるテト・ボーナスとボーナス不足を怒る労働者のデモ……。そして何より問題となるのが現金需要の急増です。
いまやビットコインなどバーチャルマネーまで流通する21世紀のデジタル社会ですが、テト前のベトナムは完全な「現金社会」。良い正月を迎える準備のため、帰省のお土産購入代金などなどとにかくお金、現金が必要となります。「すまん、給料先払いして!」と社員が頼み込む光景もしばしば。
*こんなお土産をあっちこっちに買う(貢ぐ?)にも先立つモノが必要です…。
そんなミクロな経済行動の積み重ねは、国のマクロ経済政策すら動かします。ベトナム中央銀行は昨年に続き、ドル買いドン売りの市場介入を実施、何とかレートを1USD=21,110ドンに保っています。やはり原因としてあげられるのは強いベトナム・ドン需要、特に労働者に給与支払いを行うために、ドルがドンドン(ダジャレじゃないですよ)売られているのだそうです。
15日付ベトナム紙TuoiTreには「銀行はATMに"お金を十分入れておく"ことにコミット」との記事が。「それくらいコミットして当たり前」と思っていたら、そう簡単な話ではないとのこと。田舎に帰る労働者も多いこの時期、現金需要が高まりATMの引き出しが続き、空っぽになってしまうということも多いのだとか。
「へーそうなんだ」などと他人事に感じつつ、ATMに行ったところ、わたし自身がテトの洗礼を経験することになりました。500万ドン(約2万5千円)下ろそうと思ったら、画面には「ゴメン、そんな持ってないから350万ドンにマケといて(意訳)」というメッセージが表示されました。
この微妙な値切りっぷりがマジっぽいですね。こりゃ本当に現金不足が深刻なんだと納得させられた次第……っていうかこのATMは銀行支店の目の前なんだから、ちゃんと補給しとけよ!とも思ったのですが。
というわけで、実体験込みでのベトナム年の瀬経済話でした。
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*本記事はブログ「ハノイで考えたこと」の2014年1月15日付記事を、許可を得て転載したものです。