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香港の自由が危ない、中国政府が編集者逮捕と脅迫電話で習近平批判本の出版差し止め

2014年02月18日

■香港の自由が危ない、中国政府が編集者逮捕と脅迫電話で習近平批判本の出版差し止め■

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香港といえば政治ゴシップ本百花繚乱の世界。中国本土では禁書扱いになっている共産党高官のゴシップ本、批判本がどかどか出版され、中国本土観光客のお土産としても喜ばれているのですが、このたび習近平ディス本の出版を差し止めるべく、中国当局は出版社編集の逮捕、脅迫電話という手を繰り出しました。香港の言論と出版の自由にも影響しかねない、重大な問題です。 主に2014年2月17日付自由時報を参照しました。


■中国政府批判を続ける亡命作家・余傑

作家の余傑さん。記事「悪夢のような拷問、日常生活すら奪われた=亡命作家・余傑の出国声明全文」でも紹介しましたが、政府批判の言論活動を続けていたところ、拉致され命すら失いかねない拷問を受けました。その後、2012年に米国に亡命しています。

余傑さんの本は中国本土では出版できないわけですが、中国政治ゴシップ本の総本山香港では大丈夫。亡命前の2010年に『中国影帝温家宝』(中国の俳優王・温家宝)、亡命後の2012年に『河蟹大帝胡錦濤』(河蟹とは和階と似た発音。和階はもともと調和という意味だが、ネットスラングでは書き込みの検閲削除を指す)を出版しています。

そして今年2014年4月に出版予定の新刊が『中国教父習近平』です。良き共産党を取り戻そうとする習近平のイデオロギー・キャンペーンを受けてのタイトルでしょう。


■突然の逮捕と脅迫電話

ところがその『中国教父習近平』の出版計画が頓挫しようとしています。

2013年10月、同書の出版を予定していた香港晨鐘出版社の編集者・姚文田さんが広東省深圳市で逮捕されました。容疑は禁止物品の所持。詳細は明らかにされていませんが、発禁扱いの香港政治ゴシップ本を持っていたとかそんなところでしょうが、目的が『中国教父習近平』の出版差し止めにあることは間違いないでしょう。2014年2月現在、姚さんはいまだに釈放されていません。

余傑さんは出版人による抗議の署名活動を呼びかけつつ、出版社を変えて香港九江文化出版社から出版することを決めます。ところがこの出版社もこのたび脅迫電話を受けて出版を中止。ご家族に「姚さんの二の舞になっちゃうよ」と反対されたことが決め手になったそうです。ちなみに脅迫電話の主は中国政府の意志だと名乗ったそうですが、どの部局の人間かは話さなかったとのこと。

香港返還後、言論の自由の危機というのはあれこれ言われてきましたが、さすがに中国批判本の出版者が逮捕されるというのは初の事態です。温家宝、胡錦濤はディス本の出版を見逃したのに習近平は見逃さないのか、ということもありますし、香港の自由が問われる大問題ではないでしょうか。

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