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【小ネタ】デマが発端で中国の銀行で取り付け騒ぎ、きっかけは300万円

2014年03月27日

■【小ネタ】デマが発端で中国の銀行で取り付け騒ぎ、きっかけは300万円■

Bank of China Tower
Bank of China Tower / ADTeasdale


2014年3月24日、江蘇省塩城市の射陽農村商業銀行で取り付け騒ぎが起きた。預金を引き出そうと数百人が殺到、大きなカバンや箱に現金を詰めて持ち帰ったという。

さて、この取り付け騒ぎ、どう解釈すればいいだろうか?

ウォールストリートジャーナル日本語版の記事「中国当局、社債デフォルトの許容で市場の反応試す」や日刊ゲンダイの記事「中国金融危機ジワリ 李克強発言が引き金で取り付け騒ぎ」は中国当局の「デフォルト容認姿勢」が伏線になったとの解釈だ。先日閉幕した全国人民代表大会(全人代)で李克強首相は「個別のデフォルトはあるかもしれないが、地域的リスク、システマチックリスクは絶対に防ぐ」と発言。これが「個別のデフォルトは認める姿勢!デフォルト容認や!」と喧伝されて一部で話題となった。

詳しくは関連記事を読んでもらいたいが、昨秋の三中全会でも「市場の決定に任せていくんやで」 との方向性が示されており、市場経済ならばごくごく当たり前のことをやりたいというだけの話なのだが、まあ今まで当たり前の体制ではなかったのでそれを変えるのは大変である。

ただ今回の取り付け騒ぎはもうちょっとローカルな話が原因のようだ。ロイターの報道(中国語英語)によると、ある預金者が20万元(約329万円)を引き出そうとしたところ、何が問題だったかはわからないがうまく引き出せなかったことが原因。後は噂が噂を呼んで取り付け騒ぎとなった。たった300万円で世界的ニュースになるとはすごい宣伝効果である。なお当局はすでにデマを流した人物を拘束している(人民網)。

中国は噂と口コミの国だ。福島原発事故の後に放射能対策として塩の買い占め騒ぎが起きたり、鳥インフルエンザの予防効果があるという噂でニンニク価格が超高騰したり、マヤ歴の世界の終わりが到来するからとろうそくの買い占め騒ぎがあったりとこの手のネタには事欠かない。その意味では今回の取り付け騒ぎもそうそう不思議な話ではない。

ただしデマが広まる伏線になった話はちょっと面白い。塩城市では今年1月、農民資金互助合作社3社が閉鎖された。また高利回りをうたい文句に一般人から資金を集める担保企業がここ数年蔓延していたという。こうした農村のひよわな金融環境を改善するべく、農村銀行の設立が進められているわけだが、なぜかデマはそうした危なげなところではなく、安全性が極めて高い銀行に着弾してしまったという次第。ちょっと皮肉な話である。

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 コメント一覧 (1)

    • 1.  
    • 2014年03月29日 09:34
    • 日本でも豊川信用金庫事件という笑うに笑えない事件があった

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