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「受験だから脱宅(脱オタ)しなきゃ……はぁ」日中脱オタ比較(百元)

2014年03月30日

■中国オタク「脱宅(脱オタ)しなきゃいけないんだよな……いよいよ受験だし……」■

電車男
電車男 / TaiwanSpirit


ありがたいことに「『脱宅』という言葉は脱オタという意味で使われているのでしょうか?」「最近は中国のオタクの中に若い人も増えているように感じますが、彼らは受験をどう乗り切っているのでしょうか?」という質問をいただいております。

「脱宅」という言葉は最近中国のネットでわりと頻繁に使われているようですが、これには日本で言うところの
「脱オタ」という意味に加えて、中国のネット用語の「宅男」「宅女」から脱するという意味としても使われているようです。

「宅男」「宅女」という言葉は元は「オタク」から来ているものの、現在の中国では「オタク」という意味に加えて、「引きこもり」、「インドア派」、「外に出ないでPCの前でネットやネトゲにふけっている」という意味でも使われています。むしろ最近は「PC前にずっといる引きこもり状態」的な意味の方が先に来ているような印象もありますね。

そんな訳で「脱宅」という言葉も、脱オタに加えて脱インドア派や脱引きこもりといった意味も込められている模様です。そして「脱オタ」という意味に関しても、日本の脱オタという言葉からイメージするものとはちょっと違ったものようになっているようで……

先日うまい具合に中国のソッチ系のサイトで「受験」と「脱宅」に関するやり取りを見かけることが出来ましたので、以下に例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


■中国人オタクの議論

脱宅(脱オタ)しなきゃいけないんだよな……いよいよ受験だし……
もうすぐ高三でいよいよプレッシャーがかかってきて……


高三なら趣味を一旦遠ざけないわけにはいかないだろう。大学受験さえ終われば時間はできる。

てか高三になったら普通はオタ関係に時間を割く余裕とか無くならないか?学校は補習と小テストの嵐になって、自由時間どころか学校によっては満足に家に帰るとかも難しくなるはずだし。

「脱宅神作」の「ホワイトアルバム2」を遊べば「脱宅」できるよ!
(訳注:ホワイトアルバム2は中国オタク界隈では「脱宅神作」の異名で呼ばれています。中国オタク的には何やらとても「脱宅」したい気持ちになる作品だそうで)

ああ、「脱宅」って引きこもってないで外に出ろ、宅男宅女はやめて外の光を浴びろって言う方じゃなくてオタク趣味からの脱出って方か。
正直、受験の時も忙しさに身を置いていればオタ関係から自然と離れることになってしまうと思うんだけど、今はどうなんだろう?自分は普通に余裕が無くなって高三は自然と脱宅状態だったが


私も高校受験で一度「脱宅」になったな。高三にもなると周りの友達もみんなゆっくり「脱宅」していく。私が東方シリーズを追っかけなくなったのも高校受験がきっかけだったっけな……
高校受験は、それまで過ごした暖かい環境を捨てなければいけないツライ時期だがガンバレ!

以前下の世代のオタク(高三)に「高三になると忙しくて新作アニメを追っかけるのも難しいんですが、先輩達はどうしていたんですか?」と聞かれて時代の変化を感じた。
私が高三だった頃はそもそも「新作を追っかける」なんてことすら無かったんだよ!

私は高三になってからは家に帰るのは2週間に1度がせいぜい、それに家でも宿題やらないといけないからオタ関係に割く時間とか無かったわ。普通に1年我慢した。
(訳注:恐らく寄宿舎のある学校での話かと。中国では大学になると生徒ほぼ学校の宿舎住まいになりますが、それより下の学校でも宿舎の設備が有り生徒がそこに入ることは珍しくありません)

私は高三の時に新版アニメ追っかけたために悲劇的なことに。それに懲りて復読する次の年は新番組を絶ちました。
(訳注:「復読」は高校をもう一年やって大学受験を受けなおすことです。最近は中国でも日本の浪人のように「復読」をして、次の年にもう一度試験を受けるというケースも増えてきています)

私はメシの時間にクラスメートと一緒にMP4のデータを再生してちょっと息抜きにしていたな。

高三は週末も普通に学校で授業だしな。まぁ、息抜き程度に自分の見たい作品を週1で見るとかはいいんじゃないの。ただ新作全部をチェックとかは諦めろ。

まとめて見ることができないから、日本のアニメ放映スケジュールの週1の更新って案外便利なのかもしれない。
(訳注:中国のテレビ放映は、毎日~週に数回放映というスタイルが主流です)

去年は自分も受験で週末もずっと登校していたけど、進撃の巨人の続きが気になって、教室で休み時間にPCでクラスの連中と一緒に群がって見ていたな……

あまり人には薦められないが、私の場合は土曜に半日休みがあったからそこでまとめてアニメ見ていたよ。緊張を解くために。

普通は高二くらいで止めないか?好きなことは後でやれば良いし。

私や私の周囲がハッキリと脱宅したのは高三の模試くらいだね。それまでも緩やかにオタク趣味から遠ざかっていたけど。

そもそも、受験が近付く大事な時期にこんな所(オタ系フォーラム)に来るんじゃない!

中三、高三の最初の半年に遊ぶときの楽しさは危険過ぎる!
私はオタクになったことはないけど、アニメや漫画、ゲームから離れられたこともないな。趣味に関して完全に離れることができないなら、合理的な時間の割振りをするしかないぜ。

自分でも分かってはいるんだ。大学受験で脱オタして、アニメ新番組を追っかけるのをやめる、オタク趣味と距離を置くのはしょうがないというのは。ただ、なんか寂しくてさ……
勉強のために離れてしまったら戻ってこれないような気がして。


高三で脱宅してしまうことによる変化を恐れる気持ちはなんとなく分かる。
私も高三でイロイロなものを捨ててしまった結果、元に戻れなくなってしまった。イベントに行くような熱意も無くなってしまい、イベントの入り口まで行ってもなんとなく入る気にならず帰ってしまう……

心配しないで良いぞ。戻れる、いや戻れてしまうんだ。あと脱オタしたからってリア充になれるわけではないから、安心しろ。色んな意味で。

やはり大学受験終了後が本番だよな。時間が自由に使えるわ親元を離れるわでヤバイことになるヤツ多数。

しかし昔はPC断ちすればある程度勉強だけする環境になれたが、今はPCで使う教材も多いし携帯も使わないわけにはいかないだろうし、ある意味難しいことになっているのかね。

ウチの国の若者がオタクになる年齢が下がっている印象は確かにあるな。
最近はツールもあるし、ネット経由で手軽に作品を見ることができるし交流もできるから、そうなってきてるのかね。自分の時は大学に入って周りに仲間が出来るまではアニメや漫画を見る程度で自分がオタクだと意識したことはなかった。


高三の時、私は携帯にアニメのデータ入れといて体育の時間に見ていた。
(訳注:中国の体育は課題を少しやった後はほぼ自由時間ということが多いです)

高三はちゃんと勉強するべきだとは思うが……高三から本格的にオタクになってしまった自分には何も言う資格は無い。

息抜きと勉強が同時にこなせる、日本語学科志望の俺に隙は無かった。

とまぁ、こんな感じで。


■脱オタと脱宅の違い

ちょっと前までは小さい頃からアニメや漫画を見て育ってはいるものの本格的にオタク状態になるのは大学に入ってから……という人が多かったのですが、最近は中学高校でも普通にオタクっぽい状態になっている人が結構いるみたいですし、深くはまっているが故に受験の時に苦労してしまう人も増えているのかもしれませんね。

それから「脱宅」という言葉に関しては上のやり取りにもあるように、ディープにハマっている状態から遠ざかる、イベントやネットのオタク系コミュニティに積極的に参加していくのをやめるといった辺りのスタンスのようで、言ってしまえば「オタク趣味からちょっと距離を置く」といった感じで、オタク趣味をバッサリ断つ、完全にオタクとは関係ない自分になる、というレベルではないようです。

また、日本における脱オタ系の話によく出てくる「オタク的なファッションや行動をやめる」ということに関しては、あまり話題に出ることはない(オタク色に染めた部屋を元に戻したり、自分のコレクションを処分するといったことは行われていようですが)模様です。

もちろん中国オタク界隈の脱オタを目指す人にも「脱オタしてリア充を目指す」といったような目的はあるようですが、それでもオタク趣味に関してはバッサリとはやらずに一応話題にしたりはする、たまに暇つぶしに見る程度の付き合いは続けている……といった人が多いような印象ですね。

この辺に関しては、中国の若者の間ではオタク趣味が自分達の世代の文化とされていて日本と比べてオタク趣味がかなりオープンなこと、日常的な娯楽がPCを中心としたものなのでオタク趣味やそれに伴う娯楽が日本に比べて強く交流のツールとして存在感があるといったことなども影響しているのかなーなどと考えてしまいますね。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

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*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2014年3月1日付記事を、許可を得て転載したものです。

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