中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2014年04月30日
NHKで動画、共同やクリスチャン・トゥディに写真がありますが、なるほど外見は欧州の教会にも見劣りしないゴージャスさです。お金持ちとキリスト教徒が多い温州ならではのゴージャスさと言えるかもしれません。
浙江省では2013年から「三改一拆」(旧住宅地、旧工場地、城中村の再開発と違法建築の撤去)というキャンペーンがはじまっており、その餌食となった格好です。地下教会の摘発はよくある話ではあるのですが、少なくともこの一件をもってして「中国がキリスト教取り締まりを強化」と読むのは無理筋でしょうね。
■キリスト教ネットワーク恐るべし
地下教会ではなく、公認教会でのトラブルという時点でレアケースなのが、それ以上に興味深いのが信者たちの頑強な抵抗です。取り壊し当日に数千人が集まったのみならず、1カ月前から100人を超える信者が教会に泊まり込んでいたとのこと。
信者たちは無認可建築であること自体は認めているのですが、「無認可建築は他にもいくらでもあるやろ。あのご立派な政府庁舎はちゃんと基準通りなんですかね」と反論を展開。ちょっと無理筋な反論の気もするのですが、同じキリスト教国のよしみなのか、海外メディアは基本的に信者よりの記事をがしがしと掲載。英語圏を経由して日本に到達するころには違法建築の話はほとんど消え失せ、中国政府悪玉説ばかりが強調されるような記事になっています。キリスト教ネットワーク恐るべし、であります。
ちなみに浙江日報によると、永嘉県では2013年以来、325万平米の違法建築をぶっ潰しているそうですが、うち3万4500平米は政府機関、国有企業関連の建築物。ついでに共産党幹部関連の違法建築174カ所7万3000平米、一軒家の違法建築1500平米、宗教関連建築20カ所9130平米をぶっ壊したとのこと。もちろん権力やら賄賂やらで取り締まりをくぐり抜けた人もたっぷりいることは間違いないでしょうが、そういった特別な力がない限り1万平米のゴージャスなお城がお目こぼしを受けることは難しかったのではないでしょうか。
ともあれ、中国政府との対立というと、地下教会など非公認の団体が目立ちますが、御用団体関連の公認教会であっても政府と対立する可能性を秘めていること、そしてかなりの力を持っていることを忘れるべきではない。そんな現実を伝えてくれるニュースじゃないでしょうか。
本記事はニューヨークタイムズ中国語版、RFA中国語版を主に参照しました。
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325万平方キロではなく325万平米ですね