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【小ネタ】鴨梨とアヒルと群集心理(高口)

2014年06月03日

2014年6月、上海市の港匯恒隆広場では2日の端午節を祝うオブジェが登場しました。大きな鴨梨(チュウゴクナシ)の表面にびっしりとアヒルのおもちゃが貼り付けられているという一品です。3日、網易が伝えました。

20140603_写真_中国_端午節_

鴨梨の中国語発音は「ヤーリー」。これが「圧力」(ストレスの意味)と似た発音なので、ネットスラングではよくかけことばとして使われます。「チュウゴクナシでっかい(鴨梨大)」は「ストレスすげぇ(圧力大)」となるわけです。アヒルのおもちゃは昨年、香港に巨大アヒルのおもちゃが訪問。そのニュースが話題となりブームとなりました。
 

というわけで、ネットの世界の流行を取り入れたオブジェなのです。日本だとネットの流行とリアルの流行というのはかなり分断されているところがありますが、中国ではネットの流行がリアルにすぐ取り入れられるという違いがあります。そうした中国の特徴をよく示している作品ではないでしょうか。

とこれだけでもちょっと面白いのですが、実はこのオブジェ、5月末に設置されてから6月2日の端午節本番を迎えるまでの間に、貼り付けられたアヒルのおもちゃが半分近くむしられてしまったのだとか。

20140603_写真_中国_端午節_2

まさに群集心理の定番で、「他の人が持って帰っている!自分も持って帰らないと損」と考えてこんなことが起きてしまうという……。日本でも遠足中の学校生徒がこぞって道端の果物をもいでしまったという事件があったように記憶していますが、多くの大人が見ている街のど真ん中でこれが起きるというのもなんだか……。

こうした「他の人が持って帰っている!自分も持って帰らないと損」というのは中国ではよく報じられています。私が実際に遭遇したのは湖南省長沙市の日系スーパー・平和堂の開業日。玄関前に飾られていた花を押し寄せた群衆がむしりとって帰っていくというシーンはなかなかのホラーでした。

というわけで、「ネットの流行のリアルへの浸食」「“他の人が持って帰っている!自分も持って帰らないと損”的群集心理の発動」と中国でありがちな話題が2つそろった小ネタのご紹介でした。

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