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『本当は恐ろしいグリム童話』が違法出版物代表に、人民の健やかな成長を支援する中国共産党(高口)

2014年06月07日

かつて一斉を風靡した日本の書籍『本当は恐ろしいグリム童話』が違法出版物の筆頭として新華社に取り上げられています。

2014年6月5日、新華社は百度掲示板、網易ブログ、土豆網など52サイトが暴力、エロなどの違法ネット出版物を掲載していたとして国家新聞出版広電総局の調査対象になっていると報じた。『本当は恐ろしいグリム童話』シリーズ、『暗黒童話』シリーズ、『邪悪童話』シリーズなどのコンテンツの掲載が問題となった。当局は違法ネット出版物122種を規定、計93サイトの責任を追及している。
 

本当は恐ろしいグリム童話 (WANIBUNKO)

この取り締まり、「浄網」(ネット浄化)キャンペーンの一環との話ですが(関連記事)、大手の掲示板・ブログサービスが槍玉にあがっていることが注目されます。政府と太いパイプを持つ大手さえも摘発の対象に……という威嚇効果があるかと。これでまた人力自主検閲に励まなければなりません。軽く調べてみたところ、百度掲示板の暗黒童話板は無残にも消滅しておりました。

なお暗黒童話、邪悪童話というのはおそらく個々の作品ではなくて「本当は恐ろしいグリム童話」的なジャンルを指す言葉だと思われます。同作はアニメ化というわけで日本発の書籍が122種類の違法出版物の筆頭格の座をゲットすることとなりました。また「世にも恐ろしいグリム童話」などアニメ作品も規制の対象のようです。

日本発の違法出版物といえば漫画『デスノート』が有名。中国には「人を殺せる死神のノート」など海賊版グッズがあふれましたが、「神秘主義を助長させる」との名目で規制されることになりました。

中国の違法出版物は政治的なものやわいせつ物関係だけではなく、迷信を広めるなど人民が健やかに生きるのに邪魔になるものも含まれます。以前には中高生向け小説で「超能力、霊力、転生、仙人を禁止」という不思議な通達がでたこともありました(関連記事)。

人民の健やかな成長をサポートする、優しい中国共産党の努力には頭が下がるばかりですが、ネット掲示板や動画配信サイトに掲載されているコンテンツの多くは海賊版だと思われるので、違法出版物の前に著作権侵害の取り締まりをお願いしたい所存です。

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