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中国経済改革の舵取り役は誰か?習近平と李克強の対立が表面化(高口)

2014年06月20日

習李体制と呼ばれる中国の2トップですが、太子党の習近平と共青団の李克強の間の亀裂がうかがえる事件が起きています。
 

習近平と中国の終焉  角川SSC新書

昨年前半、リコノミクスという言葉がもてはやされました。日本のアベノミクスになぞらえ、李克強が先導する中国の経済改革を示す言葉です。ところが昨夏以降、李克強の存在感は急速に低下。あらゆる権力が習近平に集中するなか、李克強はもはや経済改革の主導権を握っていないのでは、と噂されるようになりました。

その噂を証明するかのような、ちょっとした騒ぎが起きています。ブログ「中国という隣人」 が詳細に報じていますが、中国の経済政策をリードする中国共産党中央財経領導グループのトップが習近平であることが明らかになったのです。先代のトップは温家宝首相、先々代のトップは朱鎔基首相と2代続けて首相が担当していた職務なのですが、現在では習近平総書記がトップの座を確保しています。

この問題について網易、財経などの中国本土メディアは海外メディアの引用という形で、「改革の笛を吹けど踊らずという現状を理解した李克強、総書記たる習近平自らが号令を下さなくてはならないのは時代の要請だ!」といった記事を掲載したのですが、当局のお叱りを受けて記事を削除、24時間の更新停止という罰則を受ける事態となりました。しかもその後登場したのは「中央財経領導グループの歴代トップは総書記」という事実捏造記事。署名は「学習グループ」といううさんくさいもので、中国共産党の習近平直属部局によるものとみられています。このきな臭いやりとりだけでも、習近平と李克強の縄張り争いがどれだけ政治的に敏感な話題なのかうかがえようというもの。

“うらなりびょうたんのガリ勉野郎”とディスられている李克強ですが、それだけに方針は読みやすく「景気刺激策は採らない、デレバレッジ、構造改革」がリコノミクス3本の矢などと言われていました。しかし経済改革及び経済政策の主導権を習近平が握っているとなると話は別。李克強と違って習近平のパーソナリティーにはそもそも経済改革志向は見えないからです。

景気低迷が懸念される今の中国では痛みがあっても改革を断行するのか、それともカンフル剤的な景気刺激策を導入するのかが注目されていますが、その行方を占う意味でもきわめて重要な問題です。

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 コメント一覧 (1)

    • 1. 根保孝栄・石塚邦男
    • 2016年09月19日 09:07
    • 習近平と李克強との対立がつづくという中国。
      経済の改革も上手く進まないのは、この二人の対立があるからだという話も。日本にとってはいいのか悪いのか・・・

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