中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2014年08月06日
清華大学 Tsinghua University / Tagosaku
中国は今週末が「高考」、中国の大学入試センター試験となるので、受験生は青息吐息な状態になっているようです。
またこの時期は受験生でない人間も、将来の大学受験に不安になったり、自分の体験した大学受験の苦労を思い出して憂鬱な気分になったりしてしまうのだとか。それに高考が無くても、中国はこの時期は学年末になるので学生が多い中国オタクの面々に余裕が無くなってしまう時期ですね。
そんな中、中国のソッチ系のサイトでは現実逃避というか息抜きというかで「日本では大学に行かなくても大丈夫らしいのだが」といった話題が出ていました。そんな訳で今回はその辺りに関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。
■中国人オタクの議論
日本では大学行かなくても大丈夫なの?なんか日本はその辺りが開放的というか、大学に行かなくても問題無いような印象が……いや、アニメや漫画経由の情報でしかないから現実とは異なる部分もあるんだろうとは俺も分かっているんだが……
受験が近いから逃避したくなるのは分かるが、自分をしっかり持て!お前の目の前の現実は変わらんぞ。
まぁ気分転換も兼ねての話題にしてみないかい。私も少々気になる話だし。
進学問題は日本のアニメや漫画では頻繁に出るネタだな。高校卒業の時に進学か就職かという選択になる。
ウチの国だと「高校まで行ったなら進学しないと意味が無い」というので実質的に選択の余地は無いが、日本だと大学行かないで就職というのも考慮する価値のある選択肢になっているのは間違いないだろう。
日本は専門学校がしっかりしているから、大学進学以外の選択肢になる。ウチの国の専課とは違う。
(訳注:中国には「専課大学」というのがありまして、日本の短大と専門学校を合わせたような位置付けになっています。入学に関しては一般の「本科大学」と同じく中国の大学センター試験の高考の点数で決まります)
日本は職業教育があるし、金がかかる私立の大学というのも選択肢になる。そして頭の良い人間は国立の良い大学に行くこともできる。公立の微妙なランクの大学に行くくらいなら職業訓練学校の方が良いということなんだろう。
大学教育の社会的な価値や位置づけがウチの国とは異なるものになっているのは確かだろう。だから「日本で大学いかないでもいい」というのをウチの国にそのまま当てはめるのは意味が無いかと。
日本は社会的に工芸、技術を重視していて職人の地位も高いから大学に入ってホワイトカラーへという選択以外を考慮できるんでしょ。
ただ日本の社会は年功序列の弊害が大きいと聞くし、就職に関してウチの国とはまた違った苦労があるはずだ。
日本はブルーカラーの地位と収入が高いという話を聞くな。あと有名大学でなければ大学生と専門学校生の給料が変わらないとも。
そういや「CLANNAD」は主人公の進路が進学じゃなく電気工だったな。あれ、学園モノでハーレムモノな作品の主人公がブルーカラーになるというのが衝撃的というか、予想外の展開だった覚えが。
恐らく同じ「大学」という名前であっても概念が違うのではないだろうか。例えば日本は高校からバイトとかも始めるけど、ウチの国では大学になってもそういう動きがあまり出ない。大学が平民化した現在でさえもだ。
ウチの国も本科大学の生徒を減らして技術学校の生徒を増やす動きは出ているはずなんだけどね。大学生がたくさんいて、技術者が不足しているのが現状だし。
日本は職人の給料が高いという話だし……中国はその手の仕事をやっちゃうと稼げない、上にいけないといった状態だから、進学していくしかない。
あとバイトに関しても日本と中国では稼げる額が違う。日本は勉強と兼業で10万円とか稼げるらしいが、こっちは頑張っても1000元(約1万6千円)稼げるかどうかだし、それなら「やらない方がマシ」「学生のうちは節約する方が賢い」となる。学校だけでなく仕事の環境も違うから将来設計も異なるのは当然だ。
ウチの国の問題は、大学行かないと稼げる職業に就ける可能性が無くなるってことだよなー
学校に通う、良い学校に行くには金がかかるし、その金を回収するだけの収入を得るためには……
社会的な基盤の違いなのかもね。日本に限らず海外だと高学歴の人間が意外な職業についているケースが珍しくないそうだし。
高学歴の人間が意外な仕事、ブルーカラーの仕事に就いているというのは中国人が海外で驚くことの一つとしてよく出る話だな
あと、日本は大学院に行かないでもいいというのも個人的には結構ウラヤマシイ。
高学歴の方が就職に有利になるとは言われているが、現在の中国の学校でそこに至るまでの競争と費用を考えると……
もし勉強とあまり関係ない分野の家業か才能を持っているならウチの国でも大学行かなくても大丈夫だよ!
それ、ウチの国だとほぼ無理だろ。学歴がスタート地点に直結するのがウチの国の今の社会だし。
家に家業があって継ぐことができるなら、大学はそこまで必要ってわけじゃないんだろうな。
アニメや漫画の中では進路の話で「家業を継ぐ」というのが結構あるよね。あれ、実はかなりウラヤマシイ。こっちは実質的に進学しか選択肢が無いのに……
家業ってこっちでは近いようで遠い存在だよな。親の財産や地位ではなく「家業」というのは。
ウチの国とは違うが、日本でも大学に行った方が有利なのは確かだぞ。学歴の他に新卒採用という日本の企業や社会の習慣がある。
これは職歴関係無しに主に大学を卒業したばかりの若者を優先採用するというものだ。もちろん大卒ではなく高卒向けのものもあるが、最も広範かつ良い就職ができるのは大卒。これがあるから日本では大学進学に価値がある。
こっちだと最初から即戦力を求められるからそれはウラヤマシイ。ウチの国でも本来は大卒、高学歴が新人の能力の証明だったはずなんだが、今では……
大学、大学院と行ってもそれでいい仕事に就けるか分からんのが今の状況だから、大学受験に疑問を持ってしまったりもするよね。大学行っても職歴が無ければダメ、実習を繰り返したり、職歴を求めて安い給料でこき使われるのを受け入れる。下手すりゃタダ働きどころか「お金を払って働かせてもらう」なんて話も珍しくないし。
なんか大学行かないでも大丈夫というより、大学行けば新卒として評価されるということがちょっとウラヤマシクなってきたわ。
結局の所、中国は人が多過ぎるんだよ。仕事も見つからない!教育の意味も無い!日本社会に関しては人が少ないからこその話だ。
ウチの国は人が多過ぎるし、企業側もバカじゃないからテスト対策の教育を受けてきた学生をそのまま取るようにはならない、即戦力の証明を求める。
ただ高学歴が「学習能力」に関する最低限の証明になるのも確かだから、採用の基準としてはまだ有効だ。そんなにヤケクソにならんでもいいぞ。
仕事はあるけど、稼げる仕事、教育に使った費用を回収できる仕事が無いってことなんだろう。
人口が多いというよりも、教育が昔と比べて割に合わなくなってきている、学歴の価値が落ちているってのが問題なんじゃないかな。成功のための道筋が変わったというか……
ま、とりあえず悩んでもどうしようもない。昔より落ちたとは言っても、良い大学に行けば将来に希望があるというのは変わらないから目の前の事を頑張ろうぜ。
世の中通用しません!