プロパガンダ写真はお好きですか?
ボクは嫌いじゃありません、笑えるから。ただし笑えないようなネタはノーサンキューですが。以前、中国の労働英雄・雷鋒の記念館を訪ねたことがあるのですが、「暗闇の中、懐中電灯で読書する雷鋒の写真に大爆笑しました。
今、中国でまた笑えるプロパガンダ写真、「雲南省の地震、泥水で作ったカップラーメンを食べて頑張る人民解放軍兵士」が話題となっています。
■泥水カップラーメン報道
問題の写真はこちら。中国人民ラジオ局の報道です。
雲南省の地震の救援活動で現場に入った人民解放軍兵士、消防士。食料はカップ麺しかないが、地震の影響で地下水も水道水も濁っている。きれいな水は負傷者に優先的に与えなければならないため、濁った水でカップラーメンを食べるしかない。
というキャプションがついています。人民解放軍兵士は我が身の犠牲も顧みず頑張っています、というちょっといい話なのですが、これにクレームをつけたのが中国のタカ派新聞として有名な
環球時報。
前線部隊に話を聞いたところニセニュースとのお答え。浄水キットを持っているし、汚い水を飲むなんてありえねー。頑張っている前線部隊の士気を削ぐようなことはやめてって言ってますぜ。
とのこと。ところがこの記事が出てまもなく
環球時報関係者がSNSで謝罪。
動画を見たけど本当でした。必要な物を被災者に分け与えて自分の身をいとわないのは人民解放軍の伝統でした。
と謝罪しています。
■プロパガンダ、ばれちゃいましたこのバカ騒ぎをいったいどのように理解すればいいのでしょうか?
恐らく「人民解放軍は超人的な努力で救援活動を頑張っている」というプロパガンダ報道に、環球時報がマジツッコミしてしまったことが問題です。
中国のまとめサイト・墙外楼が絶妙なツッコミをしています。それは泥水カップラーメンがらみのもう1枚の写真の矛盾です。
赤丸で囲まれた部分。なんと人民解放軍兵士がペットボトルのミネラルウォーターを持っているではありませんか。水あるじゃん!というもの。なんとも詰めが甘いプロパガンダ報道なのであります。
■中国の成長に追いつけないプロパガンダこの「人民解放軍兵士の超人的努力プロパガンダ」は災害報道のたびに繰り返されるわけで、これまではたいして問題にもならなかったわけです。今回、ちょこっと騒ぎになったことに中国の変化を感じました。
もしこれが日本の自衛隊に関する報道だったらどうなるでしょうか?
「二次災害乙」
「日本の兵站は二次大戦から変わってないのだなぁ」
「被害者増やしてどーする」
「左舷弾幕薄いよ」
と批判の声があふれかえることは間違いないでしょう。
中国も経済成長を重ね、そうしたツッコミがでてくる先進国の仲間入りを果たしたがゆえの騒ぎというのが私の見立てです。そも、こんな報道を流しては前線の指揮だけではなく、人民解放軍の兵士募集にも影響します。時代に合わないプロパガンダなのです。
もっとも今回は振り上げた拳は引っ込められないとのことで、つっこんだ環球時報が謝罪するという結末に。なお「泥水の健康被害を受けないよう、カップ麺の汁は飲まないように指示した」という謎の言い訳も発表されております。
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北朝鮮では軍も警察も、国家の暴力装置の幹部が全て様々な特権と恐怖政治で一枚岩で統制されていて、人民がいくら不満を持とうが崩壊しない体制なわけですが、中国ではある一定以上のエネルギーで人民が反乱を起こすと、地方に駐屯している軍幹部が呼応して反乱を起こして群雄割拠になったり、田舎の馬賊が離合集散して軍閥を形成するみたいなことが、今の時代でも現実に起こるんですかね?