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NARUTOじゃなくて本物の忍者ってどんな人だったの?中国人オタクの議論(百元)

2014年08月21日

■中国オタク「忍者の実態について語ろう。創作の部分と現実の部分を把握したい」■

ありがたいことに
「中国オタクの間で認識されている忍者像ってどういったものなのでしょうか?創作上のものとの区別はどのくらい付いているのでしょうか?」
という質問をいただいておりますので、今回はそれについてを。

中国でも忍者を題材にした作品は「NARUTO」をはじめとして結構な人気になっていますし、忍者系の設定を持つキャラに関しても違和感なく受け入れられているようです。ただイメージする忍者像に関しては人によってまちまちな所もある模様です。

先日、中国のネットを巡回していて
「忍者の実態について」
といったことに関するやり取りを見かけましたので、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。

Ninja Portrait, Take 2
Ninja Portrait, Take 2 / Zach Dischner



忍者の実態について語ろう。創作の部分と現実の部分を把握したい。
さすがに何でもできる超人ってわけではないのは理解できるが、それ以上はイマイチ分からん。詳しい人教えてくれ。


これだけは言える。少なくともチャクラは使わない。

私の忍者のイメージは、覆面して武士の刀持って鏢を投げる。あと短い刀を使うことが多いって所かな?

忍者の武器って脇差ってカテゴリの刀じゃないの?

武士の刀と忍者の刀は違うぞ。忍者の刀は忍者専用の忍者刀。
忍者の活動に関して様々な利点のある刀で、例えば壁を飛び越える際の足場にする上で使い易い長さと回収するための紐付きになっていたり、持ち手に細工をして道具を仕込んでいたりする。


ゲームで忍者っぽいのと言えば「忍者龍剣伝」のリュウ・ハヤブサ辺りか?

「1」とかの頃はともかく、最近のリュウ・ハヤブサはもう忍者じゃなくなっているような気がするんだが。

でも、例えばリュウ・ハヤブサとはたけカカシだったらどっちがホントの忍者に近いんだろうか?

そもそもの疑問なんだが、忍者って普通の合戦に参加して戦ったりするの?

忍者は戦場にはいかないぞ。やるのは陰に隠れる類の仕事。

商人などに扮して敵対者の情報を盗み出したりするし、兵糧や設備を焼いたり、井戸や川に毒を混ぜたりするなどの破壊工作を行う。

どこまでほんとかどうかは知らんが、北条五代記によれば風魔忍軍とかは騎兵戦術を使っていたらしいし、戦場で普通に戦う忍者とかもいたんじゃないの?
五代目風魔小太郎は武田勝頼との黄瀬川の戦いで馬を使ったかく乱戦術により武田軍を苦しめている。


戦国時代の有名な忍者で実在するとされるのは服部半蔵、風魔小太郎、果心居士、百地丹波、加藤段蔵といった辺りだね。自来也とか猿飛佐助、霧隠才蔵は後世の創作上のキャラだ。

実在するとされる忍者も、モデルとなる人物はいても虚構や創作が混じっていると言われているな。
あと上の方で出ている「北条五代記」は後世の創作が混じっているという説もあるし、風魔小太郎は北条五代記にしか名前が出ていないからこっちも一部か大部分か全部が創作という可能性もある。

忍者って暗殺の専門家だろ?
大抵は暗殺者として出てくるような印象だ。「NARUTO」の初期とかもそんな所があったし。

結局の所、ある種の傭兵だったんじゃないかな。

分かり易く言えば、あれだ。スパイ+アサシン。

忍者の伝承としてちょっと面白いのは上杉謙信の配下の忍者の軒猿かな。忍者の資料を探していていきなり「軒猿」の文字が出てきて私も驚いたよ。
これは黄帝軒轅から来ているらしいが、忍者の特殊技術には中国から伝来したものもある……なんて説も存在するらしい。あとこれと関連するのかどうかは分からんが、果心居士は忍者ではなく仙人とする話もあるね。

「軒猿」が混じるといきなり武侠っぽくなるな。


忍者は個人行動で隠密行動を得意とする。それから装備は様々なモノを独自に開発していて当時最も効率的な武器を使っていた。

個人でも集団でも行動はしているよ。あと集団に関しては専門の訓練を積んだ忍軍といったものはいたようだけど、数はそんなに多くなかったらしい。戦闘力に関してはきちんと訓練した武士と雑兵の足軽の間くらい。基本的にはトラップや奇襲を得意としている。

俺の忍者のイメージ!
布面積が狭い!そしておっぱい!!

霧幻天神流か天誅か閃乱カグラか対魔忍か、どれの話だ?

格好に関しては忍者の格好はどんどんヘンなことになっているよな。最近見た中で比較的マトモな忍者に近かったのは「境界線上のホライゾン」の点蔵・クロスユナイトくらいか?
ただ普通の格好をしていても「実は忍者だ」と言ってしまえば説得力が出るというのも考えてみればスゴイが。

専門の装備を使う時もあるが、忍者の日頃の服装は一般庶民と変わらず、武器も農具とかその辺にあるのを活用していたとかどっかで見た覚えがある。

そもそも日本語だと「忍」と言う漢字は「耐える」「隠れて行動する」という意味が強いから、創作の中の華々しく活躍する忍者は実情と異なるのは確かだ。
日本のオタクからはその手の忍者キャラに対して「忍んでいない」というネタ扱いやツッコミが入ることもある。


実際の所、私達の知っている忍者って創作されたイメージだ。
実際の忍者はいわゆる普通の間諜であり、暗殺や諜報活動を行っていて、忍者の凄いバトルとかは無かった。

既に指摘が出ているように、忍者という存在に関しては日本でも創作が混じるから実情に関しては不明だ。
しかし戦場で戦っていたかということに関しては「戦っていた」と間違いなく言える。服部半蔵は姉川、三方ヶ原、小牧・長久手といった主要な徳川家の合戦に参加して武功を立てている。

あと忍者の身分階級ってのがよく分からん。
私の見た資料では奴隷階級だったとか書かれていたりもしたし、奴隷まで行かなくとも下級兵士や身分無しといったものも多い。全般的に低い身分だったようだが……

そうそう。私が昔見た資料でも忍者は奴隷だと書かれていたような。武士や傭兵よりも更に下の階級で酷使されていたとか。

忍者の地位や身分に関しては「バジリスク ~甲賀忍法帖~」とかが参考になるよ。当時の忍者の扱いが描写されている。

身分はともかく、さすがに忍者としての能力や評価は血筋が重要とかは無いよね?流派とかはあるんだろうけど。

以前ちょっと調べてみたんだが身分に関しては一定しないというか、上から下まであったようだ。例えば徳川家康に仕えた服部半蔵は普通に武士身分だったりする。東京には服部半蔵から来ている地名の「半蔵門」という場所が今でもある。そして日本の地下鉄に半蔵門線というのもある。忍者由来の名前の付いた地下鉄とか、ちょっと良いよね。

実際の忍者はアニメや漫画、ゲームとの違いは大きいだろうし、資料もそんなに残っていないか意図的に内容が歪められているんじゃないかな。
ただ少なくとも敵地に潜入してすぐに見付かってスタイリッシュバトルが始まるという忍者はいない。日本でもそういうキャラに関しては「NINJA」と表記して、普通の「忍者」とは区別しているし。


現代で言えばスパイみたいなもんだと思っておけばいいんじゃないの。個人行動から集団行動まで有るし、戦闘力に関してもたまに高くなったりする。
そして恐らく大体は創作なんだろうけど、現実の部分も混じっていると。まぁだからこそ忍者って存在が面白くなるんだろうけどね。

とまぁ、こんな感じで。


■NARUTOと忍者龍剣伝

結構イロイロな忍者像が入っているようですが、優勢なのは暗殺者としての側面のようでした。

それと今回見ていて感じたのですが、現在中国で最も知名度の高い忍者モノの作品が「NARUTO」なのは間違いないと思われますが、「忍者」という存在に関しては「リュウ・ハヤブサ」のイメージも結構強いみたいですね。

「忍者龍剣伝」は根強いファンの多いシリーズですし、関連作品の「DOA」や「NINJA GAIDEN」も中国オタクのゲーマーの間ではよく知られているゲームですから、こちらの方からも忍者のイメージが入っている模様です。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

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*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2014年7月28日付記事を、許可を得て転載したものです。

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