• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

日本政府が「世界規模の海賊版駆除作戦」、中国人オタクの反応(百元)

2014年09月27日

■中国オタク「日本が世界規模の海賊版駆除作戦を展開するらしいぞ!」■

経産省、日本のコンテンツ関連企業15社によるマンガ・アニメ海賊版対策協議会、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)によるマンガやアニメの海賊版対策「Manga-Anime Guardians Project(MAGP)」が開始されるそうです。

Manga-Anime here
初の業界横断的なマンガ・アニメ海賊版対策をスタートします(METI-経済産業省)
業界横断的にマンガ・アニメの海賊版対策に取り組む「MAGP」がスタート(マイナビニュース)

MAGPでは8月1日から大規模な海賊版対策を行っていくそうですが、ありがたいことにこの件に関する質問を複数いただいておりますので、今回はそれについてを。

66アクション NO MORE映画泥棒 6個入 BOX (食玩・ガム)

この件はNHKのニュースで報道されたこともあってか、中国でも広い範囲に伝わっているようですし、中国オタク界隈ではちょっとした話題になっていますね。

とりあえず以下に中国のネットで見かけたこの件に関する反応を、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


■中国人オタクの反応

日本が世界規模の海賊版駆除作戦を展開するらしいぞ!
で、実際どう思う?


正直自分にはあんまり関係ないかな、と思う。最近は普通に新作を正規配信で見れるから昔ほど慌てないでもいい。

近年は正規版の輸入は非常に良い具合に進んでいたと思うし、多くの人間が直接正規版の配信を見るようになったよな。アニメもそうだし海外ドラマやサッカーなどのスポーツなんかも。

国内では新作アニメは版権獲得合戦になっているし、ダメージはそんなに無いんじゃないか?昔の作品を中心に削除が起こるといった展開になるんだろうか。

8月1日から開始か。以前から随分と違法アップロードの動画は消されていたけど、更にやるってどの程度の話なんだろう?

新作に関しては大体版権が買われている。ただ前の作品となると……特にマイナーな作品は……

旧作とか劇場版、あとはBDからエンコードした動画とかが対象になるんじゃないかね。

主要な作品だと……例えば「ONE PIECE」は捜狐だっけか。他の人気作品に関してもウチの国の動画サイトが主な所は大体確保しているよね。
こういう状況、版権を中国に売ることによるビジネスが見えてくるようになったから日本側が本格的に行動を起こしたのかもしれないが。

2年前だったら私も慌てたろうけど、最近は旧作もなんだかんだで消えていたし、もう昔とは違うというのは十分に実感しているからなー

これ、何を目的としたキャンペーンなんだ?
ビジネスなのか政治なのか。日本人が中国の市場や情勢を理解していないのは確かだが。

欧米も含めた視点だとどうなのかは分からないが、ウチの国に限って見た場合は政治ショーにも見えてしまうね。
これはウチの国だと反発が出て日本にダメージを与える為にアニメの海賊版を見ようという流れに……?はっ……もしやそれを目的とした罠なのか!?


とりあえず政治ショーになって面倒なことにならないことを祈る。今年は日清戦争関係でアレな空気になっているし、今後もイロイロと対日でゴタゴタする記念日が続くわけだから。

これ自体は理解できるし悪い話ではない、でもお金払ったらそれに見合ったものが受け取れるようにして欲しい。人気キャラに土下座させるのも良いけどシステムの方もきちんと構築して欲しい。

日本の海賊版対策って「ビジネスにする」のか「海賊版が許せない」のかが方針として明確になっていないような気がする。そして日本の対策は海賊版が許せないというのが前に来過ぎてグダグダになっている印象が……

海賊版が無ければ宣伝動画に出るキャラもほとんど知られていない現状をどう捉えているのだろうか。ビジネスに取り込むのではなく潜在的なユーザーに打撃を与える方針を取っているようにも思えるんだよな。大丈夫なのかね?

日本の文化庁によれば中国の海賊版サイトによる損害額は5600億円に上るということらしいけど、どういう計算なんだろ。額はデカイのは確かだが。そっちにも興味あるわ。

ウチの国の主要都市において2012年に調査したものらしい。
おいおいデータ古いよ!この1、2年で中国の版権アニメ動向は激変しちゃってるよ!!

日本のニュース見たがちょっとヒドイな。
劇場版は違法っぽいけど、「まどか☆マギカ」のテレビ版は版権入っているし、ニュースの画像はリンク先が普通に正規の配信になっているはずだぞ。

これ、ホント中国に対してどういった影響が出るのかな。
現在は中国本土における著作権保護意識が最も高まっている時代とも言えるが、日本の企業はこの変化に対してどう思っているのだろうか?今このタイミングでこういう活動を、しかも中国を名指しでやるとか、正直とても不思議だ。

やるならこっちで正規配信が始まる前、少なくとも3年以上前だったよね。

うん、その辺りについては私もよく分からん。
「Thanks,friends」の動画は確かに威力のある、ファンにとってはダメージのデカイ動画だ。でも今中国叩きをするのはどういう意図があるんだろう?政治的なアレ?




「MAGP :Thanks, friends」の動画、youtubeにアップされてもウチの国からは見れないのよね。転載されてようやくキャプ画像じゃなくて動画が見れたよ。

金払うように言うなら、対応するサービスも準備してくれよ……最大の問題は金を払っても中国のIPでは見れないことじゃないかと思う。他の国はどうなのかは分からないが少なくとも中国のIPではダメだ。

そもそも「Manga-Anime here」のサイト見たけど日本語と英語しかないんだが……中国を名指しで最大規模の海賊版侵害地と批判するなら中国語での説明くらいしてくれ。

中国語の入り口すらないとか、スゲェ嫌がらせだな。ニュースでは「中国など」とラスボス扱いにしているのに。

一応試した人の画像が出ているな。バンダイチャンネルとかに誘導されるらしい。

バンダイチャンネルってウチの国から見れたっけ……?

日本のバンダイチャンネルみたいな月額で過去のアニメ見放題+新作配信みたいな感じのサービスは正直欲しいのは確かなんだが、中国語字幕付けて、中国地区向けに配信するとか現実的じゃないだろうしなー

昔のアニメだと中国語字幕付きのとか吹き替え版とかが無い、過去に放映されていたとしてもデータが残っていないからな。
とりあえずこのプロジェクトではウチの国からも視聴可能なサイトに誘導してくれるのかというのも気になるね。

この動きに関しては日本のアニメ業界が厳しくなっているというのも影響しているのではないだろうか?消費が落ちているのか、既存のビジネスモデルが通用しなくなったのかまでは私も知らないけど、そんな中で分かり易い海外の海賊版という敵を叩いて安心しようとしているのでは。企業が行き詰ると必要以上のコストカットに走るのと似たような感じで。
願わくば、取り締まるだけじゃなく新しいビジネスモデルを構築して欲しいが。


日本企業って本気で海外市場に進出する気が有るか無いかがハッキリしているよね。そしてアニメ関係は「する気が無い」方の分野だ。

一応、新しい商機に対応している部分もあるんじゃないの?ウチの国の動画サイトの正規配信とか。

個別のコンテンツに関してはかなり海外、中国向けの展開をしっかりやっている所もあるぞ。最近だと「ラブライブ!」なんかはスゴイことになっちゃってるし。
ここ数年で中国の状況はかなり変わってきているし、コンテンツで金を稼ぐ方法もディスク販売や有料配信だけではなくなってきている。日本はもっと活発に活動して欲しいね。
とまぁ、こんな感じで。




思ったより冷静な反応が多かったですが、「なぜ今になって」と疑問に思う人も少なくないようでした。

最近の中国の動画サイト界隈においては日本のアニメ版権取得合戦が活発に行われていますし、毎シーズンの新作アニメの配信も活発に行われています。

中国オタク界隈のアニメ視聴環境や、海賊版と正規版に関する認識も既に随分と変化していますから、今になって急に活動を始めた(ように見える)MAGPに対しては意図が読めずにちょっと混乱したり、政治的なモノがあるのではと勘繰ったりする人も出ている模様です。

またこのプロジェクトでは今の所中国語による展開が見えないことから「中国の海賊版を批判するならもうちょっと中国向けにきちんとやってくれてもいいんじゃないか?」といった意見というかツッコミも結構見受けられましたね。

ちなみにこの件に関して、以前中国における日本アニメの侵害対策に関わっていた人に話を聞いた所「対策に動くのが数年遅い」という指摘がありました。

実際、日本の複数のコンテンツホルダーが共同、連名で抗議文書を送って対応を要求するなどの行動をとっていれば政府機関レベルも動かざるを得なくなりますし、数年前、まだ正規配信のせの字も無いような時代でもある程度の効果が期待できたのは間違いありません。

また当時はまだ違法動画で儲けている動画サイトに対する一般オタク層の目は厳しかったので、日本側からきちんとした声が出れば中国のファンも味方に付いたでしょうから現地の反応も随分違ったものになっていたかと思われます。

しかし中国での海賊版対策があまり進まないうちに、現地動画サイトの土豆がテレ東との関係を作って作品を獲得する動きが出てきましたし、その後更に土豆と優酷の合併などによる中国動画サイト業界の激変が発生し、更には日本のアニメの権利を購入して配信を行う動きが活発になっています。

中国オタク事情を追っかけきれていない、予想外の変化にしょっちゅう驚かされている私が言うのもなんですが、こうやって見ていくと確かに日本側は中国の海賊版事情に対応しきれていないというか、変化に追い付けていない気もしますね。

何はともあれ、この動きに関しては私も非常に興味深いので引き続き追っかけていこうかと思っております。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

関連記事:
通達1本で中国の「日本アニメ」全滅へ、公式配信壊滅で海賊版の時代に先祖返りの危機(百元)
海賊版アニメを支えた中国ファンサブグループ「字幕組」の黄昏と公式配信(前編)(百元)
海賊版コンテンツは繁体字が基本だった……中国人オタクと簡体字・繁体字(百元)
海賊版氾濫の中国で正規本は貴重なコレクション、中国人オタク的“大事に読む方法”とは(百元)
東野圭吾の中国市場撤退問題を考える=海賊版を当然と考える中国の消費者―北京文芸日記

*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2014年8月3日付記事を、許可を得て転載したものです。

コメント欄を開く

ページのトップへ