2014年11月18日、俳優・高倉健さんの死去が報じられました。異例にも中国外交部定例記者会見で健さんについての応答がありました。
高倉健さんは中国人民がよく知る日本の芸術家であり、日中文化交流の促進に重要で積極的な貢献を果たされました。彼の逝去に哀悼の意を示します。
中国外交部ウェブサイト
というもの。
中国において健さんの代表作となっているのが「君よ憤怒の河を渉れ」。1978年、文化大革命後に中国で上映された初の外国映画となりました。なにせ文化に飢えていた時代、繰り返し同作を見た人も多く、熱狂的な高倉健ファンが生み出されます。
中国を代表する映画監督、チャン・イーモウもその一人で、後に健さんを主演に迎えた映画「単騎、千里を走る」も制作しています。私にはぴんとこないのですが、当時の中国では夫にしたい「理想の男」人気ナンバーワン。「高倉健を探せ」が当時の中国人女性の合い言葉になったばかりか、男性も高倉健にあこがれて、健さんが着ていたコートと同じデザインのコートが飛ぶように売れたのだとか。
文革直後の物質的にも精神的にも貧しい時代の中国にさっそうと登場し、外国人ながら中国人ならば誰もが知るアイドルとなった健さん。中国にとって、時代が生んだ不世出のスターと言えるのかもしれません。ご冥福をお祈りします。
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