■中国動画配信業界で初となる日本アニメ版権裁判で勝訴判決■
先日、星海社のジセダイ総研に記事「
ネット配信で復活した日本アニメ@中国、突発的政策変更というチャイナリスクで壊滅の危機」を寄稿しました。中国市場における日本アニメの盛衰から近年の正規配信ブーム、そして政府規制まで論点盛りだくさんでお送りしています。
その中で中国企業に正規配信の権利を提供するメリットとしてお金をいただけるだけではなく、中国企業が海賊版を叩いてくれるというお話も書きました。その実例となる話ですので、
4月27日付新浪網の報道をざっくりご紹介。
北京市海淀区人民法院はアニメ「スラムダンク」の海賊版配信に関する一審判決を下し、被告の風行網に罰金2万5000元(約50万円)の支払を命じた。捜狐網は昨年12月から日本アニメ専門の版権擁護活動を開始。十数サイトで海賊版が公開され、その被害額は1000万元に上ることを立証した。今回の風行網に対する訴訟も昨年来の活動の一貫。また訴訟以外にもメールや電話での警告、行政機関への訴えなどの手段で海賊版叩きを続けている。捜狐網が版権を持つ日本アニメの海賊版ページは2015年初頭の7000ページから800ページにまで減少したという。
「たった50万円?」「今回が初なの?」「まだ800サイトもあるんかい!」などツッコミどころはいろいろありますが、日本企業が単独でこれだけの海賊版潰しをやるのはなかなか難しいんじゃないか、と。
ちなみにこの風行網ですが、普通なら警告された時点でとりあえず削除するはずですが、敗訴するまでやり続けるという肝っ玉の太さがなんとも言えません。
尖閣国有化で日中対立が激化した2012年、中国の動画配信サイトは日本ドラマを削除するという報復措置(?)に出ました。アニメは需要があるのでキープしつつ、ファンが少ないドラマを削除するという腰の引けた手法で愛国心をアピールして見せたのでした。まあそのドラマもほとんどが海賊版なわけですが。
そうした中で唯一、日本ドラマが見られたのが風行網で、中国の日本ドラマ・ファンのオアシスとなっていたと聞きました。まあ海賊版ですが。今回の件とあいまって、「面の皮の厚さ」が印象的な会社となりました。
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