中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2015年05月01日
fixing my hijab / Ranoush.
現地の取材は許されず真相は闇の中にあるわけですが、その艾里西湖鎮の中心部にある市場では大音量の宣伝放送が延々流されているとのこと。その中に「宗教原理主義勢力の7つの行為」なる項目があり、「酒やタバコをやらないやつは原理主義勢力」「友達からの酒の誘いを断ったら原理主義勢力」「ラダマンにレストランや商店を閉めたら原理主義勢力」などなどご無体な条項が含まれているとのこと。
ちなみにテロ活動、違法宗教活動を通報すると、最高で20万元(約400万円)の奨励金がもらえるとのこと。下手すると禁煙しただけでたれ込まれて警察がやってくるという笑えない事態になりそうです。中国でも健康志向から禁煙する人も多いのですが、新疆では禁煙が禁じられているという……。
これまでにもヒジャブ(スカーフ)などの着用禁止、未成年のモスク礼拝禁止などが新疆の一部地域で法制化されたと報じられていましたが、「禁煙=原理主義認定」というのはなかなか厳しいんじゃないか、と。
ウイグル人はもともと世俗化したムスリムが多かったのに、近年ではイスラム回帰が進んでいるとのこと。なので中国当局の思惑としては「今まで通り世俗化してなさい」ということなのでしょうが、衣装や飲酒・喫煙を禁じればイスラム回帰を止められるという発想は因果関係を逆転させているようにしか思えません。
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