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著名ジャーナリストが作り上げた中国の非実在犯罪組織「コクドー」について(高口)

2015年05月16日

一橋文哉『餃子の王将社長射殺事件』を読了。

その第6章に中国の驚くべき犯罪組織「コクドー」についての記述がありました。

・中国に4000万人近くいる「黒孩子」(戸籍のない子どもたち)を救済し、戸籍や仕事を与えてやろうとする地下組織。
・構成員は中国国内に約3000万人、海外を含めると4000万人弱。
・「黒孩子」を留学生や研修生として日本に送り込んだり、日本人と偽装結婚させて戸籍を獲得。
・一度死んだ動物の胎児が人間として生まれ変わる「超生」(国家の割当を超えた命)との観点から何をやっても平気だという考えに。
・中国市場を支配する日本企業を打倒するべく反日活動に従事。 

という内容。

みなさん、「コクドー」については初めて知ったと思いますが、これほどの巨大組織が反日活動をリードしていることに驚かれるのではないでしょうか。そしてもっと驚くべき事実があります。本書で解き明かしている、この「コクドー」という組織ですが、著者の勘違いで実際には存在しないのです。


 

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「コクドー」とは「黒道」と書きます。これを著者は組織名を示す固有名詞だと勘違いしているのですが、実際には「黒社会」と同じで、犯罪組織という意味の一般名詞なのです。ちなみに「超生」はたんに一人っ子政策違反の意味だったり。

著者は「中国大使館関係者や、在日中国人が作る半グレ集団のメンバー、華僑、日本の公安当局など」を取材して実情を知ったそうですが、どういう勘違いが生じたのやら。

「中国には黒道(ヤクザ)がいまして。」
「なるほど、そんな犯罪組織が!」
「反日デモで暴れている人にも黒道(ヤクザ)は多いですね。でそいつらの中には黒孩子とか結構いるんですよ」
「なるほど、黒道は戸籍のない子どもたちが構成しているのですね!」

とかいう全力の誤解を元に非実在犯罪組織「黒道」のイメージを膨らませていったかな……などと想像すると笑えるものが。他にも無一文で期限ぎれコンビニ弁当を食べているが、年収2000万円とかいう謎の人物も登場したり大変なことに。

著者は『進化する中国系犯罪集団』という本も書いているのですが、こちらも同じように飛ばしているのでしょうか。怖いモノみたさで読みたいような、もうお腹いっぱいのような。

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 コメント一覧 (4)

    • 1. うが矢
    • 2015年05月16日 20:47
    • 大航海時代にありがちな伝聞で書き上げた動物誌を連想しました!おもしろっ!ちなみに私が連想したのは、中村うさぎデビュー作の主人公ゴクドー・ユーコット・キカンスキー
    • 2. 高口康太
    • 2015年05月17日 09:46
    • コメントどうもです。ゴクドーくんってそんな話やったとはつゆ知らず。
    • 3. ちゅうごくけんちくや
    • 2015年09月01日 10:27
    • コクドーってwwwwこのカタカナ表記が笑える。

      でも、歴史的に、このような誤解をくりかえしながら、日本人は中国を受容してきたんだろうな。平安の世でも、これは豆腐か納豆か?というふうに。

      誤解や交錯が、中国への畏怖、警戒、尊敬、軽蔑といった様々な様相を生み出してきたんだろうなぁ。
    • 4. dp
    • 2015年09月02日 12:43
    • 「太子党」という政党があったりすると錯覚する人は多いですしねえ…。

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