中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2017年12月13日
最近、「中国すごい、それに引き換え日本は……」というネタをよく目にします。個人的にはあまりそそられない話です。中国は世界第2の経済体、日本は3位です。どちらの国にもすごいところはあって当然。そして世界中のどの国もだめなところはあるわけで、片方のいけてるところだけを集め、もう片方のだめなところをディスれば一丁上がりの話だからです。
ちょっと前まで「中国崩壊論」が流行っていましたが、その裏返しと考えればわかりやすいでしょうか。いいところだけをみるか、悪いところだけをみるか。僕も含めプロならば、「中国すごい」でも「中国まもなく崩壊」でもどっちでもすぐに書けます。良心さえ捨てれば、ですが。
プロの書き手であっても、そういう記事を書きたい欲求に駆られてしまうことは多々あります。というのも大半の日本人読者は海外のことには本当の意味では興味がなく、「日本がやばい!」とか「日本すげー」とかいう切り口がなければ、読みたいという欲求がないからです。注目を集める記事を書くためには読まれる切り口が必要です。
僕はこれを「海外ライターの暗黒面」と呼んでいます。偉そうに言っている私として無縁ではありません。常に誘惑にさらされています。時々負けかけています。それでも安易な切り口に逃げたくないという理想があります。たいして儲かる仕事でもない物書きをやるのならば、自分が満足できるものを、自分が「面白い」と思った具体的な情報を人に伝えたいという思いがあります。
その意味で今回の記事は自分の満足いくものができました。「中国すげー、それに比べて日本は……」「中国は今はぶいぶい言わせているが崩壊まったなし」といった結論ありきの話ではなく、きわめて個別具体的な事実の中から今の中国の面白さ、すごさを伝える内容になったと自負しています。
私だけの問題ではなく、こうした個別具体的な記事が「売れる」ようになれば、「暗黒面」の誘惑も少し遠ざかるのではないでしょうか。無料記事ではないのでハードルが高いのですが、ぜひともご一読いただきますようよろしくお願いいたします。