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記事:阿井幸作 の記事

話題作「都市擬人化」はネタ不足=詰め込みすぎで方向性が見えない角川中国語漫画誌―中国(阿井)

2011年10月15日

■天漫10月号は国慶節明けに出る■

角川書店の中国語マンガ雑誌『天漫』。創刊第2号にあたる10月号は10月5日に発売されると予告されていた。月刊誌を月初めに刊行するのは当たり前だろうが、「黄金週」と呼ばれる1週間の国慶節休暇ど真ん中を発売日にする出版社はなにか間違っている。
(前回記事:「中国版ハルヒのハイレベルな出来に驚かされた=中国人のための「工夫」も万全―北京文芸日記」2011年9月17日)

「黄金週」に物流が機能しているはずもない。休みも関係なくみんなが働いくのであれば、北京のセブンイレブンからオニギリは消えないはずだ。 結局、10月号を北京で見つけたのは10日の午後のことだった。

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*月刊漫画誌『天漫』10月号。

*当記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。

山田語の妙は中国人に伝わるのか?「リアル鬼ごっこ」の山田悠介作品に中国版登場―北京文芸日記

2011年10月10日

■山田悠介がいつの間にか中国進出していた件■

よく本を書いに行く中関村図書ビルの「ミステリ・ホラー」コーナーを漁っていたら見知った作家の小説を発見した。『リアル鬼ごっこ』の作者・山田悠介が放った第4作目のホラー小説『あそこの席』が中国語になっていたのだ。

翻訳出版されている日本の小説を見つけた時、私が最初に気にかけるのは翻訳の精度ではない。作家や訳者による「中国語版の前書き・後書き」があるかどうかだ。

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あそこの席
あそこの席
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山田 悠介
文芸社
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本を手に取り開いてみると、ちょっと予想外だったが、山田悠介本人が中国人読者へ向けた前書きが載っていた。「前書き」には読者へ向けた挨拶と、今年は作家生活10年目となる節目だから云々、そして今後の意気込みなどが(中国語で)つづられていた。

*当記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。

中国のミステリー研究会イベントに参加してみた=推理小説の「本土化」ってなに?―北京文芸日記

2011年09月30日

■中国人民大学のミス研-推理小説家の講演■

9月24日(土)、人民大学で推理小説イベントが開催されました。40名以上の大学生を集めたこのイベントを取り仕切ったのは人民大学の学生サークル・中国人民大学推理協会と、ミステリマガジン『歳月・推理』を刊行する歳月推理雑誌社です。
(参考サイト:“謎”花倚石忽已“明“


■推理クイズからスタート
 
開始時刻になると講堂のスクリーンに推理クイズが映し出されました。正解者には『歳月・推理』が贈呈されるのですが、なかなか難しかったのか、それともみんなクイズよりもこのあとに行われるプログラムの方に興味があるのか、正解者は少なかったです。

クイズの答え合わせが終わると次は当サークルの紹介に入ります。

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この推理協会は2010年4月に人民大学で発足した学生サークルで、毎週集まってミステリ関係の映画や小説を鑑賞し内容に関して討論をしたり、トリックやアリバイを考える『殺人ゲーム』をすることが主な活動だそうです。日本の大学の、いわゆるミス研とはちょっと違った趣きがあります。

*当記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。

『ホームズ全集』注釈盗作疑惑(3)=中国推理小説界が負った痛手―北京文芸日記

2011年09月26日

■中国で起きたホームズ全集注釈問題 その3■

「ホームズの盗作スキャンダル」シリーズも3回目の今回で完結です。
豪華版ホームズ全集に盗作疑惑=国際的出版社のやることかと痛烈な批判―北京文芸日記
『ホームズ全集』注釈盗作疑惑(2)=批判された注釈者が出版社に責任転嫁―北京文芸日記

評論家の陳一白が新聞紙面で、「豪華版ホームズ全集」の注釈はレスリー・S・クリンガー氏の著作から盗用したものと批判したのが第1回。注釈者の劉臻が「引用元を削った出版社の問題」「客観的事実を書いた注釈は一々明記することなく引用することが可能」と反論したのが第2回でした。

第3回では、陳一白が最後通告とも思える強烈な再反論を加えています。

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*ネットショッピングサイト・京東商城


*当記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。

『ホームズ全集』注釈盗作疑惑(2)=批判された注釈者が出版社に責任転嫁―北京文芸日記

2011年09月25日

■中国で起きたホームズ全集注釈問題 その2■

『ホームズ全集』注釈盗用問題第2回をお送りします。簡単に経緯をを振り返っておきますと、新星出版社から出た「豪華版ホームズ全集注釈付き」について、陳一白氏が東方早報の書評欄において「注釈はレスリー・S・クリンガー氏の著作から盗用したもの」と批判したという流れです。
(前回記事:「豪華版ホームズ全集に盗作疑惑=国際的出版社のやることかと痛烈な批判―北京文芸日記 」KINBRICKS NOW、2011年9月24日)

書評掲載からおよそ2週間が過ぎた9月4日、批判された注釈者・劉臻が東方早報に反論文を寄稿します。簡単にまとめると、「自分は引用のつもりだったし序文で明記したが、出版社がそうした部分を全部削除した」という内容です。以下に反論文の抄訳を掲載します。


A Homage to Sherlock Holmes / Bods

 
*当記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。

豪華版ホームズ全集に盗作疑惑=国際的出版社のやることかと痛烈な批判―北京文芸日記

2011年09月24日

■中国で起きたホームズ全集注釈問題 その1■

久々に中国ミステリ界の話題を取り上げます。まだ結論が出ていない微妙な問題ですのであまり気乗りしないのですが、中国ミステリ界がかねてから抱えている問題点が改めて顕在化したという意味で重要な事例です。
 
そもそもの始まりは2011年7月に新星出版社から出版され、ネット通販サイト・京城商城で限定発売されている『ホームズ全集』です。「中国語で唯一注釈がついたハードカバー版ホームズ全集」と銘打たれたこのセット、全9巻で580元(約7000円)という強気な定価が付けられています。再販制がない中国では、ネット書籍は割引きされるのが基本。というわけで、現在は38%オフの354元(約4250円)というお値段になっています。

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*ネットショッピングサイト・京東商城

新星出版社が満を持して中国のミステリ界に送り出したこの意欲作に一体どんな問題が潜んでいたと言うのでしょうか。それはこの全集最大の特徴である「注釈」にありました。
 
8月21日、東方早報のコラム「上海書評」に、福爾摩斯被窃醜聞」(ホームズの盗作スキャンダル)というタイトルの辛らつな批判記事が掲載されました。作者は評論家(?)の陳一白。タイトルで辛辣な批判を加えています。 以下はその書評の抄訳です。

*当記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。

中国版ハルヒのハイレベルな出来に驚かされた=中国人のための「工夫」も万全―北京文芸日記

2011年09月17日

■ハルヒが春日に、キョンが阿虚になった日■

角川書店が中国で発行した漫画雑誌『天漫』。ハルヒやガンダムといった人気コンテンツを中国人漫画家が連載するという、面白い趣向をとっています。となると、気になるのは中国人漫画家のレベル。ネット掲示板をのぞいてみると、早くも話題となっていました。
(関連記事:中国人が書いたハルヒ、ガンダム=話題の角川中国語マンガ雑誌を入手―北京文芸日記

『天漫掲載のハルヒ、作画崩壊してないか?』百度掲示板
やはり天漫版ハルヒは中国人読者も違和感を抱く出来だったようです。自分自身も前回記事「なんでハルヒの漫画版って、そろいもそろって出来がアレなんだよ」と言ってしまったのですが、しかしよく見てみると天漫版のハルヒや朝倉さんは可愛いと思う。
 
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*やや顔が凛々しすぎるときがありますが……。

 
さて、この前、知人から「天漫のハルヒって日本のハルヒをトレースしてるんじゃないの?」という質問を受けました。「なんで角川本社がそんなこと許すの?!」というツッコミを飲み込んで一応調べたんですが、まぁ結論から言いますと当然トレースなんてしていません。ただ、日中のハルヒを見比べて読んでいったところ、忽然と両者の決定的な隔たりに気付きました。そして、「天漫のハルヒは単なるコミカライズではない」という結論にいたったのです。

*当記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。

中国人が書いたハルヒ、ガンダム=話題の角川中国語マンガ雑誌を入手―北京文芸日記

2011年09月12日

■角川グループの奇手・天漫創刊号購入■

中国初の日系コミック月刊誌 角川、日本から編集者派遣
アサヒドットコム、2011年9月5日
「新世紀エヴァンゲリオン」のオリジナル版や「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」の中国コミック版を掲載。オンラインゲームのコミック版や現地の人気マンガ家のオリジナル作品も連載する。

角川は日本からベテラン編集者を送り込み、創刊準備を進めてきた。今後も、日本や台湾で培ったノウハウを投入し、作品のアニメ化やゲーム化、キャラクターグッズの販売など様々な事業に取り組むという。

日本でもかなり大きく報じられた角川の月刊漫画誌『天漫』をようやっと購入。場所の問題か発売部数が少ないのか家の近所では全く見かけず、大学と学生が集まる北京市の海淀区まで行かなければいけませんでした。

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早速創刊号のラインナップを紹介します。

*当記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。

中国最大の図書展示会・北京ブックフェアに行ってきた=コスプレ、マンガの存在感―北京文芸日記

2011年09月09日

■北京ブックフェアに行って参りまして■

北京ブックフェアとは中国最大の図書・雑誌展示会。地元、海外から出版社、著作権エージェントなどが出展、一般消費者を含め12万を超える来場者が集まる。

第18届北京国際図書博覧会(公式サイト)

北京国際ブック・フェア(アースナビ)

CREEK & RIVER SHANGHAIの出展する『北京ブックフェア2011』 8/31(水)より開催(asahi.com、2011年8月30日
 
 第18回北京国際図書博覧会が閉幕 (中国国際放送局、2011年9月5日)

8月31日から9月4日の開催期間のうち、一般人が入場できるのは土日の2日間だけ。平日3日間は何をするのかと言うと、業界関係者が各出版社のブースで版権売買の商談が行われる。

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本当なら盛況が見込まれる平日に行きたかったのだが、関係者以外入場禁止なので、もはや祭りの後でしかない土曜日にしか行けなかった。平日に入場できていたら講談社の重大発表を間近で聞けただろうに。残念。

*当記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。

東野圭吾の中国市場撤退問題を考える=海賊版を当然と考える中国の消費者―北京文芸日記

2011年08月28日

東野圭吾の決断と海賊版問題■

前回の「東野圭吾、中国の海賊版に激怒。版権許可取り下げ」のニュースですが、ネットの反応を見るにどうやら本当らしいです。26日には中国でこの件に関するニュースが報道されました。
(前回記事:「中国ならiPhoneで海賊版小説を読みホーダイ=あの著名日本人作家がキレた?!―北京文芸日記」KINBRICKS NOW、2011年8月23日)
(参照:「東野圭吾が『出て行った』背景」解放日報、2011年8月26日)


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*昨年度、中国で高収益を得た外国人作家トップ10にも入る東野圭吾氏。写真は星島環球網より。

マイクロブログにありがちな流言飛語の類だと思い、ガセネタであることを見越してブログに取り上げたのですが、まさか本当に東野先生が憤慨してらっしゃるとは。せっかくマイクロブログの続報や出版社側から噂を否定する公式発表が出たときのために、「釣られたクマー」のAAまで用意していたのに、とても残念です。

*当記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。

中国ならiPhoneで海賊版小説を読みホーダイ=あの著名日本人作家がキレた?!―北京文芸日記

2011年08月23日

■東野圭吾の憤慨■

中国の出版界で起こるべくして起こることがようやく起きてしまいました。ただし、マイクロブログのつぶやきという怪しげな情報に基づいた話であることは先に断っておきます。もっとも内容は十分にありそうな話ではあるのですが。

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*昨年度、中国で高収益を得た外国人作家トップ10にも入る東野圭吾氏。写真は星島環球網より。


■今後、中国に版権を与えない?

 
事の発端は中国の推理小説家が8月18日につぶやいた発言です。
 
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信頼できる筋からの情報によると、東野圭吾はもう中国に新作を出版する版権を与えない。既に契約済みのは別として。

*当記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。

無数のネット民による大監視時代=人肉捜索を題材にしたサスペンス映画『無形殺』―北京文芸日記

2011年08月22日

■中国サスペンス映画 無形殺■

たまには趣向を変えて映画のレビューでも。


『無形殺-InvisibleKiller-』

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-あらすじ-

女性刑事・張瑶は大捕物の最中に偽造身分証を持っていた高飛という男を捕まえる。彼はネトゲを通じて知り合った他人の妻を寝取ったとして、女性の夫から人肉捜索にかけられていた。高飛の個人情報はまたたく間にネット中を駆け巡り、顔の見えないネットユーザーから犯罪紛いの嫌がらせを受けることになる。

不倫容疑で指名手配された高飛は逃亡中、ついに警察に捕まってしまった。不倫相手の林燕もまた、不倫がバレたため家を追い出され、ネットユーザーの目から身を隠しながらの、当てのない逃亡旅行を続けていた。

高飛が釈放されてまもなく、不倫相手林燕の首無し死体が浜辺で発見される。彼ら2人にしつこく付きまとっていた記者、人肉捜索を呼びかけた林燕の夫、そして警察の調査。多面的な調査から次第に事件の様相が浮かび上がり、林燕を殺した人物の謎が明らかにされていく。

参考:百度百科 無形殺
*当記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。

中国版「乙一」!?華文推理グランプリ入選作『灰姑娘』を読む―北京文芸日記

2011年08月09日

■歳月・推理8月号

久々に歳月・推理の話でも。

雑誌『歳月・推理』、中国本土ミステリー小説界の状況については下記記事をご参照下さい。
【中国本土ミステリの世界】中国は推理小説不毛の地じゃない!新たな才能たちの胎動を見よ(KINBRICKS NOW、2011年12月19日)


『歳月・推理8月号』

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*当記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。

アジア最大級のアニメイベント、香港の「Ani-com」に行ってきた―北京文芸日記

2011年08月07日

香港は想像以上にデカかった

7月30日と31日に休日を利用して香港に行ってきた。実は香港に行くこと自体が目的の今回の小旅行。土曜はシンセンに宿泊して、翌日の日曜に香港に行ってその日の夕方にシンセンに戻るという日帰り旅行だ。もっと時間があったら香港に泊まって色々と探索してみたかったんだけど。

余りの疲労と熱気で夏バテを起こしたおかげで、香港へ行く前日まではシンセンから香港への出国ゲートをくぐったら踵を返して中国に再入国してやろう、とすら考えていた。ただ、日帰りとは言え香港旅行なのでそれなりに満喫しなければ損。

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そこでシンセンのホテルでネットを繋ぎ、香港についていろいろ調べているうちに変わったイベントの情報を発見する。それが『香港動漫電玩節』だ。

*当記事はブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の許可を得て転載したものです。

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